[ODP-072] Characterization of TA system targeting DNA gyrase in Staphylococcus aureus
トキシン・アンチトキシン(TA)システムは,細菌自身の細胞機能に必須なDNA,RNA,タンパク質,ATP合成等を阻害するトキシンと,トキシンの作用を中和するアンチトキシンから成る.TAシステムは,当初,大腸菌のプラスミドDNAの安定的な保持機構として見出されたが,細菌の細胞死,バクテリオファージからの防御,バイオフィルム形成や,薬剤抵抗性に関与することが知られている.これまでに我々は黄色ブドウ球菌のTAシステムであるTsbA/TsbTを見出し,50アミノ酸から成るTsbTトキシンがDNAジャイレースの酵素活性を阻害する事を見出している.本研究では,TsbTトキシンのトキシン活性に重要なアミノ酸を同定することを目的とした.ブドウ球菌属の7菌種において存在するTsbTトキシンの相同遺伝子を,大腸菌を指示菌とした生育阻害活性(トキシン活性)試験を調べた結果,活性強度に違いを示した.この結果からトキシン活性の強弱は,アミノ酸配列の差異に由来すると考え,続いてアミノ酸変異導入を行った結果,TsbTトキシンの27番目のアミノ酸残基および37番目のアミノ酸残基が活性に重要な役割を担うことが推測された.さらに種々のアミノ酸変異導入解析により27番目のアミノ酸残基はグルタミン酸またはグルタミンであること,37番目のアミノ酸残基はアスパラギン酸またはグルタミン酸であることが強いトキシン活性の維持に必要であることを明らかにした.現在,これらアミノ酸残基とトキシン活性との関連について解析を進めている.