第95回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表

[ODP18] 4. 遺伝・ゲノミクス・バイオテクノロジー-c. 遺伝子発現制御・トランスクリプトーム解析

[ODP-089] バクテリアの形態形成に必須なRodZによる転写後調節(3)

三戸部 治郎,米澤 英雄,花輪 智子,大崎 敬子 (杏林大・医・感染症学)


【目的】RodZはバクテリア細胞骨格蛋白MreBとともに桿菌の桿状形態を形成する内膜蛋白である.我々は赤痢菌の3型分泌装置のレギュレーターInvE(VirB)を転写後レベルで調節する因子としてこれを同定し,RNA結合活性を持つことを報告した.病原性以外の表現型を調べたところ,赤痢菌のrodZ欠損株は過酸化水素の分解が亢進し,RpoS(KatF)の発現が抑えられる対数増殖期にその発現が起こることが分かった.またRpoS以外にmRNAの二次構造で調節されるRpoHとRpoEの発現が増加することが示された.今回は昨年に引き続きRpoS以外の遺伝子群を調べた.
【方法・結果】昨年はHfqの制御下にあることが報告されている遺伝子群の発現をFLAG-tagで調べ,sstT遺伝子がシグマ因子と同様にrodZ欠損株で増加することを報告した.今年もmRNAの配列上,5’領域に二次構造を取ることが予想される遺伝子群について同じ系で試み,発現が増加するもの,減少するものが得られた.
【考察】得られた遺伝子群は至適な発現コンディションが明らかでないため,ごく弱いシグナルからの判定になった.上記のRpoSは翻訳融合のレポータープラスミドでプロモータを構成的なlacUV5やtrcに置換してもRodZの影響は同じであったことから,この系を利用して構成的な発現下でRodZの影響を確認する予定である.