第95回日本細菌学会総会

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[ODP20] 4. 遺伝・ゲノミクス・バイオテクノロジー-e. その他

[ODP-097] Mycobacterium intracellulare菌株間における生存必須遺伝子プロファイルの比較

立石 善隆,尾関 百合子,西山 晃史,松本 壮吉 (新潟大・医・細菌)


【目的】Mycobacterium intracellulareM. aviumと並んで,昨今急増している肺非結核性抗酸菌症の主要な病原体である.比較ゲノム解析によりM. intracellulareM. aviumと同様に,ゲノム多型性をもつことが示された.一方,菌株間での遺伝子必須性の相違は分かっていない.今回,トランスポゾンシーケンシング(TnSeq)による機能ゲノム解析により,M. intracellulare臨床菌株における必須遺伝子を探索し,臨床菌株とATCC株との間で必須遺伝子プロファイルの相違を比較した.
【方法】肺MAC症患者由来M. intracellulare臨床菌株7菌株とM. intracellulare ATCC13950の合計8菌株を対象とした.各菌株に対して,ゲノム全体を網羅したトランスポゾン変異ライブラリーを作製し,NextSeqによりTnSeqを行った.
【結果】臨床菌株において必須性の減少した遺伝子として,糖新生系およびtype VII secretion systemの遺伝子がヒットした.一方,臨床菌株において必須性の増加した遺伝子として,多剤耐性化への関与が示唆されている輸送系遺伝子や二成分制御系遺伝子,解糖系の遺伝子がヒットした.
【考察】必須遺伝子プロファイルの相違は,菌の形質,特に薬剤感受性や耐性化に関わる可能性が示唆された.