The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP22] 5. Pathogenicity -b. Toxins, effectors and physically active substances

[ODP-123] Biological function of pneumococci-derived hydrogen peroxide on the host cells

Runa Furuya2,3, Michinaga Ogawa2, Yuko Honjo1,2, Ryoichi Saito3, Yukihiro Akeda2, Haruko Takeyama1, Makoto Ohnishi4 (1Dept. Life Sci. Med. Biosci., Waseda Univ., 2Dept. Bac. 1, Natl. Inst. Infect. Dis., 3Dept. Mol. Microbiol., Grad. Sch. Med., Tokyo Medical and Dental Univ., 4Natl. Inst. Infect. Dis.)


肺炎球菌は鼻咽頭に常在するグラム陽性双球菌であり,小児や免疫力の低下した高齢者において菌血症,髄膜炎といった侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を発症する.過酸化水素(H2O2)は莢膜多糖,ニューモリシンとともに肺炎球菌の主要な病原因子の一つである.肺炎球菌が菌体外に放出するH2O2の大部分は,病原因子であるSpxB(ピルビン酸オキシダーゼ)が菌体内のピルビン酸をアセチルリン酸に変換する過程で産生される.肺炎球菌が放出するH2O2には殺菌作用があるが肺炎球菌はH2O2に対して耐性を獲得していることから,spxB遺伝子の保持が鼻咽頭における菌の生存競争において優位に働くことが示唆されている.一方で,肺炎球菌感染時にH2O2が宿主細胞に与える影響については不明な点が多く残されている.Nrf2(Nuclear factor erythroid 2-related factor)は,多くの酸化ストレス応答に関する宿主遺伝子発現を制御する転写因子である.通常Nrf2はKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)により恒常的にユビキチン化されプロテアソーム分解を受け不活化されているが,ストレス応答型,p62応答型の2種類の経路により分解から逃れると核へと移行し,カタラーゼなどの抗酸化タンパク質や解毒酵素の発現を上昇させることで酸化ストレスに対する宿主細胞の抵抗性を増強させることが知られている.本研究では,肺炎球菌が放出するH2O2がNrf2の核移行に与える影響を解析するとともに,H2O2と肺炎球菌誘導性オートファジーとの関連について報告する.