第95回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表

[ODP22] 5. 病原性-b. 毒素・エフェクター・生理活性物質

[ODP-136] ESAT-6 like protein contributes to T7SS-dependent cytotoxicity in Streptococcus intermedius

橋野 正紀,関塚 剛史,糸川 健太郎,黒田 誠 (感染研・病原体ゲノム解析研究センター)


小児脳膿瘍患者病変部より原因菌としてStreptococcus intermediusTYG1620株が分離された.本菌株の皮下膿瘍モデルマウスへの感染実験からType 7 Secretion System(T7SS)関連遺伝子群の膿瘍形成への寄与が示唆された (Infect Immun. 2017 Jan 26;85(2)).本研究は,TYG1620株の病原性におけるT7SS機能解明を目的にHeLa細胞株に対する細胞傷害性を評価した.7型分泌装置を構成するessAおよびessC遺伝子にトランスポゾンが挿入されたT7SS変異株2株とTYG1620株を使用し,各菌株の濃縮培養上清(≥ 3 kDa)および限外濾過膜により培養上清を含有タンパク質の大きさにより5つに分取した各分画を細胞に添加し傷害性を評価した結果,T7SS変異株の濃縮培養上清(≥ 3 kDa)および50-100 kDa分画では細胞傷害性の有意な減弱が確認された.そこで,各濃縮培養上清に対してData Independent Acquisition法によるSecretome解析を行った.T7SS変異株培養上清では,共通してESAT-6 like protein,LXG family protein等の分泌量減少(検出量5%以下; 計 9タンパク質)が示され,T7SS依存的分泌タンパク質候補として考えられた.さらにESAT-6 like protein単独欠損株を作製し,その濃縮培養上清(≥ 3 kDa)添加でも有意な細胞傷害性の減弱が認められた.ESAT-6 like protein単独欠損株のSecretome解析では,ESAT-6 like proteinのみならずLXG family protein等の分泌量減少(検出量5%以下)も確認されたことから,ESAT-6 like proteinはT7SS依存的細胞傷害性に寄与するとともにLXG family protein等のT7SS依存的分泌にも関与していることが示唆された.