[ODP-141/W9-4] Indole suppresses the intracellular growth of Chlamydia trachomatis L2
細胞内寄生性細菌Chlamydia trachomatis(Ct)は,性感染症の原因である.これ迄の試験管内の実験から,IFNγが細胞内トリプトファン(Trp)を枯渇することでCtの細胞内増殖を抑制するが,Trpの前駆体インドール(Ind)存在下ではその抑制効果が減弱することが知られている.それ故に常在菌由来の腟内Indは,感染したCtの生存性を助長する要因と考えられている.一方,最近になってInd誘導体やダイオキシンの受容体である芳香族炭化水素受容体(AhR)からの刺激が様々な細胞応答を調整していることが明らかになってきた.しかし実際の腟内でのIndの存在やAhR刺激がCtの細胞内増殖に与える影響は明らかになっていない.まず570検体の腟スワブ液中のIndとIFNγ量を測定した.その結果,これらの間には強い正の相関が認めら,非感染スワブに比べCt感染スワブでは,IndとIFNγ量は有意に低下した.試験官内の実験では,Ind刺激(200-500 μM)は,Ct(L2)のHEp-2細胞内での発育を有意に抑制した.AhRアンタゴニストCH-223191その発育を抑制し,Indとの相乗効果が認められた.AhRレポーターアッセイでは,IndはAhRアゴニストL-kynurenine刺激によるCyp1a1遺伝子の転写を阻害した.一方,Ind刺激は,異常な紡錘体を有する細胞を増加させた.このようにIndはAhRからの刺激を阻害することでCtの細胞内増殖を抑制すると考えられた.IndによるTubulinの脱重合もCtの発育抑制に関わる可能性がある.
(非会員協力者: 船橋悠希,田中里歩)