The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP24] 5. Pathogenicity -d. Immune escape and proliferation in hosts

[ODP-153/W9-6] Knockout of the ykcB gene increases virulence in Bacillus subtilis

Daiki Takano, Chikara Kaito, Kazuyuki Furuta (Grad. Sch. of Med., Dent., and Pharm. Sci., Okayama Univ.)


【目的】細菌が病原性を上昇させるメカニズムは未だ十分に明らかにはなっていない.これまでに私たちは,大腸菌の複数種の遺伝子変異によって,細胞壁合成阻害薬であるバンコマイシンへの耐性化とカイコに対する高病原性化が導かれることを明らかにしている.そこで本研究では,バンコマイシン耐性化と高病原性化には何らかの関係があり,バンコマイシン耐性を指標として高病原性変異株を同定できると考え,枯草菌の病原性上昇を導く遺伝子変異の探索を行った.
【方法と結果】枯草菌遺伝子欠損株ライブラリー(BKE遺伝子破壊株,3967株)からバンコマイシン耐性株を探索したところ,23株の遺伝子欠損株がバンコマイシンに耐性を示すことが明らかとなった.これらの遺伝子欠損株のうち,もっともバンコマイシン耐性度の高いykcB欠損株について,カイコに対する殺傷活性を検討した.その結果,ykcB欠損株は親株よりもカイコに対して強い殺傷活性を示した.ykcB欠損株は複数種の抗生物質に感受性または耐性を示し,バイオフィルム形成能を低下していた.In silico解析の結果,ykcB遺伝子産物は,糖転移酵素に相同性を示すことが明らかとなった.
【考察】以上の結果は,ykcB遺伝子がコードする糖転移酵素の欠損が,複数種の抗生物質への感受性の変化,バイオフィルム形成能の低下,カイコに対する病原性上昇を引き起こすことを示唆している.ykcB遺伝子産物によって糖転移を受ける生体分子の同定と機能解析を行うことにより,枯草菌の病原性上昇の新たなメカニズムが明らかになると期待される.