第95回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表

[ODP26] 5. 病原性-f. その他

[ODP-163] Proteus mirabilis のswarming調節機構の解析

多和田 早紀,比嘉 聖菜,平井 到 (琉球大・保健・微生物)


【背景】 Proteus mirabilis はグラム陰性の腸内細菌叢構成菌であり,長期間のカテーテルの留置による尿路感染症の起因菌となる. P.mirabilis のswarming活性はカテーテル上での上行性移動と病原因子の活性化,ヒト尿路上皮細胞への侵入に関与している.本研究では, P.mirabilis のswarming調節機構について解明することを目的とした.
【方法】臨床分離 P.mirabilis N692株を用いた.プラスミドpSAM_AraCを用いたランダム挿入変異により P.mirabilis の遺伝子変異株ライブラリーを作製した.得られた遺伝子変異株のswarmingの有無によりswarming活性陰性株をスクリーニングした.インバースPCR法によりswarming活性陰性株の遺伝子変異部位を特定した.いくつかの変異が認められた遺伝子について,発現プラスミドにクローニングしswarming活性が復帰するか確認した.
【結果・考察】9384の遺伝子変異株をスクリーニングし,bull’s eyeパターンを形成しない23株のswarming 活性陰性株が得られた.23株中19株でカナマイシン耐性遺伝子挿入位置が特定でき,swarmingの調節に関わる可能性のある15の遺伝子が推定された.そのうち, wbnF は発現プラスミドを用いた形質転換によりswarming活性が復帰した.この結果は, wbnF がswarming調節に関与する遺伝子であること可能性を示唆した.現在,その他の遺伝子については相同組み換えによる遺伝子欠失変異体の作製を試みており,swarming調節機構における機能解析を検討中である.