[ODP-185] The intracellular invasion of Group A Streptococcus regulated by autophagy related gene 9
栄養飢餓になると細胞質成分を非選択的に分解するオートファジーは,細胞内に侵入した細菌を選択的に分解する自然免疫機能を果たす.オートファジーは,ULK1複合体,PI3K複合体,オートファジー関連因子(ATG)結合反応系,ATG9小胞の5つの機能グループであるATGタンパク質がヒエラルキカルに協調して細胞内膜動態を変化させることで誘導される.しかし,ATGタンパク質は細菌感染においてオートファジー誘導因子としての解析は進んでいるが,それ以外での膜動態の制御機能についてはあまり明らかでない.細菌感染では宿主細胞のメンブレントラフィックが宿主・菌側の因子によりドラスティックに変化することから,細菌の細胞内動態にATGタンパク質が関与すると予測し,ATGタンパク質の生理機能を解明することを目的とした.ATGタンパク質ノックアウト(KO)細胞に,A群レンサ球菌(Group A streptococcus:GAS)を感染させ,細胞内侵入・増殖を検証したところ,ATG9 KO細胞においてGASの細胞内侵入率が低下していた.またATG9のエンドソーム局在を制御するULK1をノックダウン(KD)した結果,野生型では侵入率が低下するのに対し,ATG9 KO細胞ではKDによる侵入率への影響は見られなかった.ULK1複合体因子であるFIP200やATG13のKOでは侵入率が減少しないことから,オートファジーを制御するULK1複合体の機能とは異なり,GASの細胞内侵入をATG9とULK1が制御することが示唆された.また,ATG9 KO細胞はリステリア菌あるいはサルモネラ菌の細胞内侵入に影響が見られなかった.加えて,ATG9 KO細胞は細胞付着性が低下していた.以上のことからATG9はGASが細胞内侵入に必要な受容体の動態を制御することが考えられる.