[ODP-186] The effects of D-amino acids produced by Mycobacterium avium complex on macrophages
【目的】非結核性抗酸菌(NTM)感染症の感染者数と死亡者数はともに大幅の一途を辿っており,NTM感染症の予防および治療効果を上げるためには,NTMと宿主との相互作用についての更なる解明が必須である.
他方,近年,D-アミノ酸(D-AA)の生体への様々な作用が明らかになりつつあるものの,病原細菌が産生するD-AAと宿主における感染防御機構との関連性については不明である.
本研究では,Mycobacterium intracellulare(Min)が産生するD-AAを明らかにし,そのD-AAの抗酸菌と宿主のマクロファージ(MΦ)との相互作用における役割の解明を目的として種々の検討を行った.
【方法】マウスD-AA酸化酵素(mDAO)の遺伝子発現解析はRT-PCR法により行った.MΦのNO産生についての検討は,MAC感染および非感染MΦに対してD-AA存在下で1および4日間培養した培養上清を用いてグリース法により行った.
【結果・考察】Min感染MΦ(RAW264.7細胞)に対してMinで産生が認められた5種類のD-AAを添加しmDAOの発現についてRT-PCR法により検討を行った結果,3種のD-アミノ酸(D-AA)について,添加して1日間培養後に,アミノ酸非添加の場合と比べてmDAOの遺伝子発現が増強する傾向が認められた.他方,D-AAを添加後4日間培養した場合は,調べた5種類のいずれのD-AAの場合においてもmDAOの遺伝子発現が減少した.MAC感染後4日目は,アミノ酸非添加条件においても感染1日後と比べるとDAOの遺伝子発現が顕著に減少していたことから,MACの持続的な感染によってDAOの発現が抑制される可能性が示唆された.