[ODP-187] Infection defense through supersulfides production by NADPH oxidase and nitric oxide synthase
【目的】NADPHオキシダーゼ(Nox)や一酸化窒素合成酵素(NOS)は,NADPHから供給される電子を用いて活性酸素種(ROS)や一酸化窒素(NO)を生成し,感染防御機能を発揮する.我々は最近,複数個の硫黄原子が直鎖状に連結した超硫黄分子が,電子供与体および受容体として機能することを見出した.すなわち,NoxやNOSによってNADPHから供給される電子を酸素のかわりに超硫黄分子が受け取る可能性を示唆している.本研究ではNoxおよびNOSによる超硫黄分子産生を介した感染防御機能の解明を目指した.
【方法・結果】各種Nox(Nox2,Nox4)やNOS(nNOS,eNOS,iNOS)の過剰発現細胞に酸化型グルタチオントリスルフィド(GSSSG)を処置し,硫黄代謝物を網羅的に解析した結果,酵素発現に依存してシステインパースルフィド(CysSSH),グルタチオンパースルフィド(GSSH),グルタチオントリスルフィド(GSSSH)の有意な増加が観察された.in vitroにおいて,組換えnNOSをGSSSG存在下でNADPHと反応させた結果,NADPHの消費と共にGSSSGは完全に代謝され,GSSHやGSSSHが産生された.本反応は,NOを産生しない条件においても観察される一方で,興味深いことにNO産生条件下においてはGSSSSGやGSSSSSGの増加,すなわち硫黄の伸長反応が観察された.さらに,硫黄単体S8を安定化する画期的な解析法を用いたところ,驚くべきことに本反応により硫黄が伸長した結果,非常に効率良くS8が形成されることが判明した.
【考察】各種NoxおよびNOSは,超硫黄分子を還元酸化的に伸長・活性化することにより感染防御機能を発揮する可能性が示唆された.現在,宿主および細菌におけるS8動態や生体防御機構について解析を進めている.