The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP30] 7. Antimicrobial agents and resistance -a. Antimicrobial agents

[ODP-190] Estimation of the mode of action and targets for antimicrobial peptide, protamine against C. acnes

Momoka Okubo, Michiyo Honda (Dept. AC. Sch. S/E., Meiji Univ.)


【目的】抗生物質による薬剤耐性菌の出現に対し,新規治療薬として注目を集める抗菌性タンパク質の一種であるプロタミンは,Cutibacterium acnes(C. acnes)に対し抗菌性を発現するが,その作用標的は未解明である.そこで本研究では,プロタミン処理時の細菌細胞内部への内在化に着目し,細菌内部におけるプロタミンの抗菌作用標的を推定することを目的とした.
【方法】細菌に対して異なる抗菌作用標的を持つ抗生物質(Streptomycin, Rifampicin, Ciprofloxacin)をプロタミンと共にC. acnes に処理し,その最小発育阻止濃度(MIC)を用いて算出される相乗効果の有無によりプロタミンの抗菌作用標的の推定を行った.さらに,RNA および DNA 合成にプロタミンが与える影響を検証するために,プロタミンと RNA および DNA 複合体をゲル遅延アッセイにより,プロタミンのRNA, DNAに対する結合親和性を調査した.
【結果・考察】プロタミンと抗生物質を共処理した結果から,プロタミンはタンパク質合成阻害よりもRNA やDNA合成阻害に関与する可能性が高いことが分かった.また,ゲル遅延アッセイにおいて,プロタミンはその強い正電荷により RNA, DNAのいずれに対しても結合能を有したが,その結合親和性はRNA よりも DNA の方が高かった.この結果は,プロタミンがRNA 合成阻害よりもDNA合成阻害に深く関与することを示唆している.従って本研究成果より,プロタミンは細菌内部においてRNAよりもDNAに選択的に作用し抗菌性を発現することが考えられる.