The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP31] 7. Antimicrobial agents and resistance -b. Antimicrobial resistance

[ODP-205] Increased tellurite resistance by a nonsynonymus mutation on tehA gene in EHEC O157

Ryuya Akasaka1,2, Yuko Matsumoto3, Kenichi Lee2, Mitsumasa Koizumi3, Hisao Sato4, Yukihiro Akeda2, Makoto Ohnishi2, Sunao Iyoda2 (1Tokyo Coll. Biotech., 2Dept. Bacteriol. 1, Natl. Inst. Infect. Dis., 3Yokohama Inst. Pub. Health, 4Japan Microbial Research Inst Co., Ltd.)


【目的】腸管出血性大腸菌(EHEC)O157の多くは亜テルル酸カリウム(PT)への耐性遺伝子群(terオペロン)を有するため,分離には選択剤としてPTを含む培地が広く用いられている.2018年に分離されたEHEC O157をPT含有培地に塗抹したところ,大小不同のコロニーが認められた.全ゲノム配列解析を行った結果,両コロニーの株ともterオペロンを保有せず,大コロニーの株には別のPT耐性遺伝子(tehA)上に1か所の非同義置換(Ala299Thr)が存在した.そこで,同変異がPT耐性に与える影響の解析を行った.
【材料・方法】Y32821(小コロニー,Sakaiと同様のtehA)またはY32859(大コロニー,変異型tehA)が有するtehAB発現プラスミドをY32859tehAB欠失変異株に導入し,相補株を作製した.これらを用いて,PTへの最小発育阻止濃度(MIC)を測定した.また,野外株でのterオペロンの欠失およびtehAの変異頻度を,感染研・細菌第一部でゲノム解読をしたEHEC O157 1,668株を対象にBLAST検索で調べた.
【結果・考察】Y32859はterオペロンを有するSakai株と同等のMIC値(100 μg/ml)を示した一方で,Y32821は低い値(6.25 μg/ml)を示した.tehAB欠失変異株では,MIC値は低下し,変異型tehAB相補株ではPT耐性が回復した.一方,Sakai型tehAB相補株では,MICの顕著な上昇は見られなかった.このため,変異型tehAがEHEC O157のPT耐性を高めることが示された.野外株では2.6%(44株)がterオペロンの全体または一部を欠失していたが,tehAの変異(Ala299Thr)はY32859株以外では認められなかった.これらの結果から,tehAの同変異は稀であるが,ter オペロン非保有大腸菌でのPT耐性につながるためEHEC分離の上で注意が必要と考えられた.