The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP32] 7. Antimicrobial agents and resistance -c. Others

[ODP-223] Analysis of Clostridioides difficile - specific lytic enzyme CD09610

Hiroshi Sekiya, Hina Yamashi, Eiji Tamai (Dept. Infect. Dis., Coll. Pharm., Matsuyama Univ.)


【目的】溶菌酵素は細菌の細胞壁を構築するペプチドグリカンを分解する酵素であり,近年,溶菌酵素は抗菌薬に代わる治療薬のひとつとしても注目されている.ディフィシル菌630株が持つ推定の溶菌酵素であるCD09610は,エンドペプチダーゼ,グルコサミニダーゼと推定される酵素活性ドメインを持っている.今回,CD09610の生化学的性状を明らかにすることを目指した.
【方法】ディフィシル菌630株のDNAを鋳型にPCR法でCD09610のクローニングを行いpColdIIに組み込んだ.また,CD09610-CD1(2つの酵素活性ドメイン),CD09610-CD3(エンドペプチダーゼ),CD09610-CD53(グルコサミニダーゼ)をサブクローニングした.それらをBL21-CodonPlus-RILに導入しタンパク質の発現を行い,アフィニティークロマトグラフィーで精製した.タンパク質の溶菌活性は濁度低下法で測定し,プルダウン法で菌との結合を測定した.
【結果と考察】CD09610-CD1,-CD3,-CD53のいずれもディフィシル菌に溶菌活性を示し,特にCD09610-CD1が最も強い活性を示した.また,CD09610-CD3がpH5-9で溶菌活性を示す一方,CD09610-CD1,-CD53はpH6付近の狭いpHで溶菌活性を示した.さらに,CD09610-CD3が0-200 mM NaClで溶菌活性を示す一方,CD09610-CD1,-CD53はNaClが高濃度になると溶菌活性の低下がみられた.タンパク質の加熱処理により,CD09610-CD1,-CD3の溶菌活性が低下する一方,CD09610-CD53の溶菌活性にはほとんど影響がなく,CD09610-CD53は熱安定性が高いことがわかった.また,これらタンパク質はディフィシル菌以外の菌に対してほとんど溶菌活性を示さず,ディフィシル菌に特異的に溶菌活性を示す溶菌酵素であると考えられた.