The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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President Symposium

[PS1] President Symposium 1
Bacteriology ResearchersMemorial Symposium

Tue. Mar 29, 2022 2:30 PM - 4:30 PM Channel 4

Convener: Ken Kikuchi(Tokyo Women’s Medical University)

[PS1-1] Takehiko Uchiyama―a pioneer in research on superantigens‍―

Junji Yagi (Tokyo Women’s Medical University Professor Emeritus)

内山竹彦先生は,長年に亘り,東京女子医科大学微生物学免疫学教室において,医学教育に尽力するとともに,スーパー抗原性外毒素に関する独自の基礎研究および臨床研究を精力的に展開し,細菌感染症学の分野において多大な貢献を果たされた.
スーパー抗原が登場した1989年,毒素性ショック症候群毒素―1(TSST-1)が莫大な数のT細胞を一括して活性化する機構を明らかに‍し,世界に先駆けて毒素性ショック症候群の発症機序を提唱した.‍次いで,レンサ球菌発熱毒素A(SpeA)のスーパー抗原活性を示‍し,偽結核菌からは新規のスーパー抗原性外毒素,Yersinia pseudotuberculosis-derived mitogen(YPM)を同定するとともに,遺伝子配列を決定して遺伝子産物の特徴を解明した.これらの成果に基づき,原因不明の“幻の疾患”であった「泉熱」の病原因子がYPMであることを明らかにした.1998年,新生児の発疹性疾患の原因がTSST-1であることを見出し,新生児TSS様発疹症(neonatal TSS-like exanthematous desease, NTED)という新しい疾患概念を提唱し,確立した.さらに,G群レンサ球菌から新規スーパー抗原性外毒素を見出した.
“艱難汝を玉にす”をモットーとし,つねに教室員を鼓舞した.動物実験のみで完結することを戒め臨床応用の重要性を説かれた.2000年に第36回小島三郎記念文化賞,2002年に第71回日本細菌学会浅川賞を受賞された.
細菌学会においては,評議員,理事を長く務め2003年に理事長に就任するとともに,2005年には総会長として第78回日本細菌学会総会を主催し,2016年,日本細菌学会名誉会員の称号を授与された.
私は,教室に所属し指導を受けたものとして,今回,内山先生の業績を振り返り,先生を偲ぶ機会を得たことを幸いに思う.