第95回日本細菌学会総会

講演情報

総会長企画シンポジウム

[PS2] 総会長企画シンポジウム2
日本細菌学会が目指す産官学連携の戦略とイノベーションの創出

2022年3月31日(木) 09:15 〜 11:45 チャンネル2

コンビーナー:菊池 賢(東京女子医科大学),田村 弘志(日本バイオベンチャー推進協会・LPSコンサルティング事務所)

[PS2-1] 固相トランスフェクションツールの開発と展望

三宅 正人 (産総研・生命工学領域)

トランスフォーメーションとインフェクションを語源とする造語のトランスフェクションは動物細胞に核酸を取り込ませるプロセスを意味する.この技術の問題は,核酸を取り込みやすい細胞と取り込みにくい細胞があることで,課題は,如何にすれば細胞によらず効率的に核酸を取り込ませることができるかであった.私たちは接着性細胞の接着面で食作用が活発に起きていることに着目し,培養皿の細胞接着面に核酸をあらかじめ固着させることで,接着細胞であれば,細胞によらず高い効率でトランスフェクションが起こるツールの開発に成功し,その方式を固相トランスフェクションと命名した.近年,創薬モデルとして期待されている幹細胞を含む初代培養細胞まで,細胞を播種する操作だけで高効率トランスフェクションが可能になった.固相トランスフェクションは従来のトランスフェクション法では困難であった様々な応用を可能にすることが期待される.ツールの特徴を活かせば,直径100μmの微小な面から数10cmの大きな培養面までトランスフェクションのスケールを変えられるため,ゲノムワイドな遺伝子スクリーニングや大量の治療用細胞のゲノム編集に取り組んでいきたい.