[S10-2] Interaction of fungi with viruses and bacteria in pulmonary infectious diseases
真菌は各種臓器に感染する中で,臨床現場においては高頻度に呼吸器感染症を引き起こす.近年,開発が著しい生物学的製剤の合併症に加えて,インフルエンザやCOVID-19等のウイルス感染症・細菌感染症の合併感染としても真菌による呼吸器感染症の報告が増加している. 演者はこれまで宿主因子に注目し,非結核性抗酸菌(NTM)症やCOVID-19等の呼吸器感染症の病態解明を目指してきた.日本人・米国人・韓国人集団の肺NTM症のコホートを用いて,肺MAC症のゲノムワイド関連解析を世界で初めて実施し,酸・塩基平衡に関わる遺伝子CHP2の関与を明らかにした(Namkoong, et al. ERJ 2021).また,肺NTM症にアスペルギルスが合併すると,肺機能や画像所見が悪化することを明らかにしてきた(Suzuki, Namkoong, et al. Respir Med 2018)COVID-19に対しては,国内第一波の早期から演者が所属する慶應義塾大学を中心として,COVID-19の宿主因子の研究を推進すべく,100を超える機関と共にコロナ制圧タスクフォース(www.covid19-taskforce.jp)を組織し,末梢血DNA,RNA,血漿試料の集積を進めてきた.登録症例は5000例に迫り,国際コンソーシアムとの連携のもと詳細なゲノム解析が進めている. 今後,真菌感染症をウイルス感染症・細菌感染症と共に統合的に解析することは必要不可欠であり,今後,我々が目指すべき臨床と基礎のトランスレーショナル研究のあり方に関しても議論を行う予定である.