The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

Symposium

[S3] Symposium 3
Genome analysis opens up new frontiers in phage research

Tue. Mar 29, 2022 9:15 AM - 11:45 AM Channel 4

Conveners: Satoshi Tsuneda(Waseda University), Hidetomo Iwano(Rakuno Gakuen University)

Co-Sponsor: Japan Society for Phage Therapy

[S3-1] Relationship between Outer Membrane Protein of Escherichia coli and the Ligand of its Specific Phage

Kazuhiko Miyanaga (Sch. of Life Sci. Technol., Tokyo Tech.)

大腸菌は,細胞壁に存在するリポ多糖に由来するO抗原,莢膜に由来するK抗原,鞭毛に由来するH抗原,など様々な抗原性を有した株が知られている.これまで,演者らは,病原性大腸菌O157:H7(以下,大腸菌O157)に特異的に感染し溶菌するPP01ファージを健康なブタ糞便より単離した.本研究では,宿主特異性を担う宿主レセプターおよび特異的ファージリガンドの関係を明らかにした.PP01ファージと大腸菌O157の共培養により出現したファージ耐性菌および野生株の外膜タンパク質(Outer membrane protein: Omp)を比較解析したところ,耐性菌のOmpCが欠損していた.更に,PP01非感染性である大腸菌K12株にO157由来のOmpCを発現させたところ感受性を獲得したことから,OmpCがレセプターであることが明らかとなった.大腸菌O157および大腸菌K12のOmpCのアミノ酸配列は96%の相同性であり,構造予測より変異部位は宿主の外側に集中していた.この結果よりPP01ファージはこの僅かな変異を認識していることが示された.一方,PP01ファージの尾繊維の先端タンパク質(Gp38)を他の大腸菌ファージと比較したところ,Gp38にはグリシンに富む領域に挟まれた超可変領域(Hyper Variable Region:HVR)が3つ存在し,それらが宿主の感染性に影響している可能性があることを示した.これらの結果より,ファージセラピーを考える上で,溶菌ファージの宿主特異性を明らかにすることは,ファージ耐性菌に対する対策および異なる種類のファージカクテル化の指標となると考えられる.