The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

Symposium

[S3] Symposium 3
Genome analysis opens up new frontiers in phage research

Tue. Mar 29, 2022 9:15 AM - 11:45 AM Channel 4

Conveners: Satoshi Tsuneda(Waseda University), Hidetomo Iwano(Rakuno Gakuen University)

Co-Sponsor: Japan Society for Phage Therapy

[S3-3] Analysis of pseudolysogenic lifecycle of Clostridium botulinum types C and D phages

Yoshihiko Sakaguchi1, Akira Take1, Kazuyoshi Gotoh2, Yumiko Yamamoto2, Tomoko Kohda3, Masafumi Mukamoto3, Shunji Kozaki3, Shunji Hayashi1, Tetsuya Hayashi4, Keiji Oguma2 (1Dept. Microbiol., Kitasato Univ. Sch. Med., 2Dept. Bacteriol., Okayama Univ. Grad. Sch. Med. Dent. Pharm. Sci., 3Dept. Vet., Sci., Grad. Sch. Lif. Environ. Sci., Osaka Prefect. Univ., 4Dept. Bacteriol., Facul. Med. Sci., Kyushu Univ.)

ボツリヌス毒素は,抗原性によりA型からG型に分類される.この中でC型とD型毒素の産生性は,バクテリオファージ(ファージ)よって支配されている.我々は,C型毒素遺伝子保有ファージ(c-st)のゲノム解析を行い,本ファージの様々な特徴を明らかにした.
本ファージの全塩基配列は185,681 bpで,ゲノムの両末端には403 bpのterminal direct repeatが存在した.本ファージゲノム上には,C型神経毒素を含む198個のタンパク質コード領域(ORF)が同定された.また,枯草菌のSPβファージゲノムのORFと有意な相同性を示したことから,c-stはSPβ類縁のファージであることが示唆された.本ファージゲノム上には,新しいタイプのinsertion sequence (IS)が多数存在し,ゲノムの約10%を占めていた.さらに,溶原株においては,本ファージDNAは環状で存在することも明らかとなった(偽溶原化).偽溶原化には,tubZ, tubR, tubSおよびtubYの遺伝子が関わっていた.詳細には,TubZが微小管を形成し,これにTubR, TubS, TubYが作用することで,エピソーム様に存在するファージDNAの分配を調節していることが明らかとなった.一方,野生型を長期間継代培養することで,ゲノムサイズが約160 kbpと約165 kbpに変化しており,約140 kbpの領域が共通していた.本領域には,C型神経毒素,ファージ構造および溶原化に関わる遺伝子群が保存されていた.
c-stが溶原化するために,溶菌酵素が必須である.これは,ファージセラピーを開発するために重要な情報となる.そこで,我々は,遺伝子機能予測により,c-stのゲノム上から2つの溶菌酵素を推定した.現在,これらの遺伝子を個々に発現・精製し,その機能を解析している.