[S3-3] C型とD型ボツリヌス毒素を支配するバクテリオファージの溶原化機構の解析
ボツリヌス毒素は,抗原性によりA型からG型に分類される.この中でC型とD型毒素の産生性は,バクテリオファージ(ファージ)よって支配されている.我々は,C型毒素遺伝子保有ファージ(c-st)のゲノム解析を行い,本ファージの様々な特徴を明らかにした.
本ファージの全塩基配列は185,681 bpで,ゲノムの両末端には403 bpのterminal direct repeatが存在した.本ファージゲノム上には,C型神経毒素を含む198個のタンパク質コード領域(ORF)が同定された.また,枯草菌のSPβファージゲノムのORFと有意な相同性を示したことから,c-stはSPβ類縁のファージであることが示唆された.本ファージゲノム上には,新しいタイプのinsertion sequence (IS)が多数存在し,ゲノムの約10%を占めていた.さらに,溶原株においては,本ファージDNAは環状で存在することも明らかとなった(偽溶原化).偽溶原化には,tubZ, tubR, tubSおよびtubYの遺伝子が関わっていた.詳細には,TubZが微小管を形成し,これにTubR, TubS, TubYが作用することで,エピソーム様に存在するファージDNAの分配を調節していることが明らかとなった.一方,野生型を長期間継代培養することで,ゲノムサイズが約160 kbpと約165 kbpに変化しており,約140 kbpの領域が共通していた.本領域には,C型神経毒素,ファージ構造および溶原化に関わる遺伝子群が保存されていた.
c-stが溶原化するために,溶菌酵素が必須である.これは,ファージセラピーを開発するために重要な情報となる.そこで,我々は,遺伝子機能予測により,c-stのゲノム上から2つの溶菌酵素を推定した.現在,これらの遺伝子を個々に発現・精製し,その機能を解析している.
本ファージの全塩基配列は185,681 bpで,ゲノムの両末端には403 bpのterminal direct repeatが存在した.本ファージゲノム上には,C型神経毒素を含む198個のタンパク質コード領域(ORF)が同定された.また,枯草菌のSPβファージゲノムのORFと有意な相同性を示したことから,c-stはSPβ類縁のファージであることが示唆された.本ファージゲノム上には,新しいタイプのinsertion sequence (IS)が多数存在し,ゲノムの約10%を占めていた.さらに,溶原株においては,本ファージDNAは環状で存在することも明らかとなった(偽溶原化).偽溶原化には,tubZ, tubR, tubSおよびtubYの遺伝子が関わっていた.詳細には,TubZが微小管を形成し,これにTubR, TubS, TubYが作用することで,エピソーム様に存在するファージDNAの分配を調節していることが明らかとなった.一方,野生型を長期間継代培養することで,ゲノムサイズが約160 kbpと約165 kbpに変化しており,約140 kbpの領域が共通していた.本領域には,C型神経毒素,ファージ構造および溶原化に関わる遺伝子群が保存されていた.
c-stが溶原化するために,溶菌酵素が必須である.これは,ファージセラピーを開発するために重要な情報となる.そこで,我々は,遺伝子機能予測により,c-stのゲノム上から2つの溶菌酵素を推定した.現在,これらの遺伝子を個々に発現・精製し,その機能を解析している.