The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Symposium

[S6] Symposium 6
Bacterial reversible mutations and adaptive strategies

Wed. Mar 30, 2022 9:15 AM - 11:45 AM Channel 4

Convener: Hitomi Mimuro(Osaka University・Oita University)

[S6-4] Codependence between transposable elements and moderate thermophiles distributed in environments

Hirokazu Suzuki (Dept. Chem. Biotechnol., Fac. Eng., Tottori Univ.)

Geobacillus属細菌は環境に広く分布した中等度好熱菌で,高温環境のみならず常温環境からも頻繁に単離される.単離源における増殖に有利な特性を示すことも多く,Geobacillus属細菌は環境適応に優れた菌群であると推察できる.発表者らは,Geobacillus属細菌の1種(Geobacillus kaustophilus HTA426)を宿主とした耐熱化指向性の酵素遺伝子変異を研究してきた.これは耐熱化変異酵素の創出をハイスループット化させることを目的としていたが,その研究過程では,挿入配列(IS)の転位がHTA426株中で高頻度に起こることを偶然にも発見した.好熱菌で機能する転位因子について先行研究が少なかったことから,我々は当該現象を詳細に解析し,以下の知見を得た:i) HTA426株のゲノム中には,120以上のISが見出される.それらは16種のファミリーに分類される.ii) 少なくとも4種のファミリー(IS4,IS701,IS1634,およびISLre2)は機能的である.iii) 転位において4~9 bpの順向き反復配列を生成する.ゲノム上の複数個所においてIS挿入が起こる.iv) 転位は高温ほど活発である.v) IS701メンバーが最も高頻度に転位する.転位は複製型である.vi) IS転位は生育阻害下において活性化する.特に核酸飢餓下において活性化する.vii) ECFシグマ因子(SigX)の遺伝子を高発現させると生育阻害下でなくとも転位が活性化される.本会では,これら知見を発表すると共に,そこから垣間見えるGeobacillus属細菌とISの共存関係(生育阻害下におけるゲノム多様化ひいては環境適応にIS転位を利用するGeobacillus属細菌と自身の増殖にGeobacillus属細菌を利用するIS)について議論したい.