The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Special Lecture

[SL] Translational Research through basic research on Inflammation and Immunity

Tue. Mar 29, 2022 1:05 PM - 2:05 PM Channel 1

Chair: Ken Kikuchi(Tokyo Women’s Medical University)

[SL] Translational Research through basic research on Inflammation and Immunity

Kouji Matsushima (Tokyo University of Science Research Institute for Biomedical Sciences, Div. Molecular Regulation of Inflammatory and Immune Diseases)

私は,1978年に金沢大学医学部を卒業後,最初の1年間は血液・免疫疾患の臨床に従事しましたが,その後一貫して炎症・免疫に関する基礎研究に従事して参りました.主な研究業績は,ケモカインの発見を通した炎症時の特異的白血球浸潤機序の解明であります.炎症反応において不可分な普遍的反応として特異的白血球サブセットの組織浸潤が起こりますが,長くその分子機序は不明であり炎症・免疫学における大きな謎・Enigmaでありました.1980年代の後半に急性炎症の主役である好中球並びに慢性炎症の主役である単球・マクロファージの遊走因子として,活性化白血球・組織細胞が産生するIL-8/CXCL8とMCAF/CCL2を精製・遺伝子クローニングを通して発見しました.様々な急性炎症モデルにおいてCXCL8が炎症組織への好中球浸潤に,慢性炎症モデルにてCCL2が単球浸潤に中心的役割を果たし,これらの阻害により臓器障害を防止できることを明らかにしました.ケモカイン受容体CXCR4/CCR5がHIV-感染受容体であることが明らかになったこともあり,世界中の製薬企業がケモカイン・ケモカイン受容体の阻害剤開発に入りました.私達は,ケモカイン受容体CCR4に対する抗体を作製し,CCR4が成人T細胞白血病(ATL)細胞に選択的に発現することを見出し,2012年には抗CCR4抗体がATLの治療薬として承認されました.本講演では,私の研究史を紹介する中で,アカデミアにおける基礎研究がどの様にしたら創薬・事業に結びつくのか,企業に求めること,また,自らベンチャーを創設する必要性などについても私見を述べたいと思っております.