The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

Special Session

[SS1] Frontier of the pandemic monitoring

Tue. Mar 29, 2022 9:15 AM - 11:45 AM Channel 2

Conveners: Takaaki Akaike(Tohoku University), Ken Kikuchi(Tokyo Women’s Medical University)

[SS1-1] Breath omics and pathogen monitoring

Tomoaki Ida, Takaaki Akaike (Dept. Environ. Med. Mol. Toxicol., Tohoku Univ., Grad. Sch. Med.)

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは,社会活動に大きな制限をもたらし,これまでの生活のあり方を大きく変えてきた.呼気エアロゾルを介して強力な感染力を発揮する新型コロナウイルス感染症の迅速かつ高感度・高精度な検査法の確立は,その診断,病期・病状の評価,治療効果の判定や重症化のリスク判定,予後・合併症の予測という観点から喫緊の課題である.我々は,これまで,呼気エアロゾルを急速冷却することにより得られる呼気凝縮液を分析対象とした代謝物解析「呼気オミックス」の開発に取り組んできた.その結果,呼気凝縮液には,生体由来の主要な代謝物として,システインパースルフィドに代表される超硫黄分子(スーパースルフィド; supersulfide)が豊富に存在していることが分かってきた.超硫黄分子は,高い求核性と還元性を有し,感染・炎症や酸化ストレスを制御している.実際に,COVID患者の呼気凝縮液における各種硫黄代謝物の生成動態が,サイトカインストームなどの炎症や酸化ストレス病態,さらには重症度と高い相関性を有することを見出し,本感染症のバイオマーカーとなり得る可能性を見出した.このように呼気凝縮液を用いた呼気オミックスは,無接触・無侵襲・非観血的な新規疾患診断法として注目されはじめている.そこで,本講演では,優れた生体防御機能を有する超硫黄分子や病原微生物由来の分子を標的にした呼気オミックスの最新の知見を紹介する.さらに,新型コロナ感染症のみならず,今後,人類に大きな災禍となる新興・再興感染症の防疫対策や環境汚染物質のモニタリングへの展望について議論する.