The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

Special Session

[SS1] Frontier of the pandemic monitoring

Tue. Mar 29, 2022 9:15 AM - 11:45 AM Channel 2

Conveners: Takaaki Akaike(Tohoku University), Ken Kikuchi(Tokyo Women’s Medical University)

[SS1-5] The monitoring of the stool-testing derived enteropathogenic bacteria: From the point of the measures of COVID-19

Toshio Sato (JAPAN BIOSCIENCES, CO., LTD.)

新型コロナウイルス感染拡大により,社会全体が厳しく行動制限を受け,在宅勤務,出張制限,授業のオンライン化,飲食店等の営業制限,旅行・イベントの中止,マスク,手洗い等衛生観念の徹底などの結果,国内の市中感染がどのような影響を受けたかを食品関連従事者等が定期的に受けている検便検査(腸管出血性大腸菌・サルモネラ属菌・赤痢菌)及び便中ノロウイルスの結果を通して検証してみました.
< 日本で新型コロナウイルス感染者が初めて見つかったのは2020年1月中旬で,翌2月には初めての死者が出ています.この後感染拡大と収束を繰り返し今に至っております.このことから2019年以前と2020年以降を新型コロナウイルス感染の区切りと考えました.
< 【菌種別陽性率の動向】
< ・腸管出血性大腸菌は,2019年まで増加傾向にありましたが,2020年は減少しました.しかし,2021年に少し増加しましたので,今後の推移に注目していきたいと思います.
< ・サルモネラ属菌は,2019年まで増加傾向にありましたが,2020年は減少し2021年は更に減少しました.新型コロナ対策による手洗い等が減少に影響した可能性が考えられます.
< ・赤痢菌は,2019年以前は1年に1件あるか否かの検出でしたが2019年は6件と急増し,その内訳として約67%は東南アジア系の外国人でした.2020年と2021年は2年間を通して1件の検出にとどまりました.海外旅行の自粛や訪日外国人旅行者がいなくなったこと外国人労働者の減少等が原因と考えられます.
< ・便中ノロウイルスは,2016年から2018年まで急激に陽性率が減少し,その後も緩やかに減少しています.減少のグラフのカーブに新型コロナウイルス感染拡大対策の影響は見られませんでした.
< ここで注目したいのは,腸管出血性大腸菌感染症発症に大きく関与する腸粘膜付着因子インチミンの陽性率が2020年以降上昇していることです.この原因について考えたいと思います.
< 検便検査由来病原菌の統計データから新型コロナウイルス感染やその対策が,市中感染微生物やその病原因子にどのような影響を与えたかを考察いたします.<