The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Workshop

[W10] Workshop 10
Selected from Oral Session 5: Antimicrobials and Drug resistance

Thu. Mar 31, 2022 1:05 PM - 3:05 PM Channel 4

Conveners: Shin-ichi Yokota(Sapporo Medical University), Haruyoshi Tomita(Gunma University)

[W10-7/ODP-214] Bacteriophage-resistant variants of MRSA are resensitized to β-lactam antibiotics

Tomohiro Nakamura1, Keita Nishida1, Jumpei Fujiki1, Ryo Murata2, Kazuki Yamamoto3, Satoshi Ichikawa3, Hidetomo Iwano1 (1Lab. Vet. Biochem., Sch. Vet. Med., Rakuno Gakuen Univ., 2Lab. Vet. Bacteriol., Sch. Vet. Med., Rakuno Gakuen Univ., 3Lab. Drug Discov., Grad. Sch. Pharm. Sci., Hokkaido Univ.)

【目的】メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は薬剤耐性菌の中でも特に発生数が多く,世界中で問題となっている.近年,抗菌戦略としてバクテリオファージを用いたファージ療法が注目されつつある一方,細菌はファージに対しても耐性化することが知られている.そこで,MRSAのファージ耐性化機構と耐性化に伴う表現型変化について解析した.
【材料方法】臨床検体から分離されたMRSA株と黄色ブドウ球菌溶菌性ファージを液体培地中で共培養し,ファージ耐性菌を分離した.続いて次世代シーケンサーを用いてファージ耐性菌の変異遺伝子を検出した.次に耐性菌に対するファージ由来ペプチドグリカン(PGN)切断酵素の細胞壁結合性及び溶菌活性をpull-down assay及び濁度測定法によって評価した.また,LC/MS解析を実施しPGN構造の解析を実施した.さらに,薬剤感受性試験を実施し,抗菌薬感受性の変化を調査した.
【結果】変異解析の結果,ファージ耐性菌にはPGN合成酵素femAの変異が認められた.また,ファージ耐性菌に対するPGN切断酵素の結合性及び溶菌活性が低下し,LC/MS解析の結果,PGN架橋構造の変化が確認された.さらに,耐性菌で特にβラクタム系抗菌薬の感受性が大幅に回復し,メチシリン感受性となった.
【考察】femA変異はPGN構造を変化させ,ファージ由来PGN切断酵素が作用できないことによりファージ耐性を獲得した一方,βラクタム系抗菌薬存在下ではPGN架橋が形成できず,薬剤感受性が回復したと考えられる.つまり,MRSAにおいてファージ耐性化と抗菌薬感受性の上昇はトレードオフの関係にあることが推察され,ファージ耐性を逆手に取った新たなファージ療法の展開が期待される.