The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

Workshop

[W5] Workshop 5
Selected from Oral Session 2: Genetics, taxonomy and Epidemiology

Wed. Mar 30, 2022 4:00 PM - 6:00 PM Channel 3

Conveners: Yoshitoshi Ogura(Kurume University), Hidenori Matsui(Kitasato University)

[W5-8/ODP-086] Temperature-dependent regulation and heterogeneity of myo-inositol operon in Clostridium perfringens

Ryosuke Fukuda1, Nozomu Obana2,3, Nobuhiko Nomura3,4 (1Sch. Life Environ. Sci., Univ. Tsukuba, 2TMRC, Fac. Medicine, Univ. Tsukuba, 3MiCS, Univ. Tsukuba, 4Fac. Life Environ. Sci., Univ. Tsukuba)

偏性嫌気性細菌であるウェルシュ菌は宿主腸管や自然環境中に広く在住している.温度は宿主内外を認識する環境シグナルの一つであり,本菌のバイオフィルム形成や毒素産生を制御することから,温度による遺伝子発現調節は宿主内外環境への適応を可能にすると考えられる.本研究では,ウェルシュ菌における温度依存的な遺伝子発現制御機構と生物学的意義を解明することを目的とした.
RNA-seqによって温度間で発現量が変動する遺伝子群を探索したところ,イノシトール(iol)オペロンの発現が37°Cに比べ 25°Cで顕著に上昇していた.iolプロモーター(Piol)レポーター株を用いて1細胞レベルの遺伝子発現を解析したところ,Piol強度は不均一であり,集団内の数%の細胞でのみ高い発現が観察された.ウェルシュ菌のiol遺伝子発現は基質であるミオイノシトール(MI)と,転写リプレッサーであるIolRによって制御されることが知られている.培地中へのMIの添加およびiolRの欠失によって,Piolの不均一性が段階的に解消され,集団中の全ての細胞でPiol発現が上昇したことから,IolRがPiol活性の不均一性に必須であることが示された.一方で,Piol活性は二つの温度間でほとんど変化せず,さらにiolR欠損株においても25°Cではiolオペロン mRNA量が増加した.
本研究によって,本菌のiolオペロンは転写制御によって発現の不均一性が,転写後制御によって温度に対する応答が制御されていることが示された.イノシトールは宿主細胞のリン脂質や土壌中に豊富に分布する糖源であり,ウェルシュ菌はiolオペロンの発現を複雑に制御することにより,各環境下で効率的にイノシトールを利用していると予想される.