第74回日本細胞生物学会大会(2022年)

大会長挨拶

第74回日本細胞生物学会大会開催にあたって


 

 

第74回日本細胞生物学会大会

大会長 今本 尚子
理化学研究所 開拓研究本部

主任研究員

  第74回日本細胞生物学会大会を、2022年6月28日(火)から6月30日(木)までの3日間の日程で、東京都江戸川区のタワーホール船堀で開催いたします。本大会では、「集まってサイエンスを語ろう」と、従来ならば、ごく当たり前のことを、あえてキャッチフレーズにしました。Covid-19パンデミックの終息を切に願いながら、全ての方が参加して、サイエンスを活発に語り会える学会にしたいと、大会の準備を進めました。コロナ禍の真っ只中にもかかわからず、長い間にわたって本学会に大きな貢献をしてくださった後藤由季子先生(東京大学)、核の構造構築と機能制御といった私の研究分野で最も尊敬する研究者であるUlrike Kutay博士(スイス連邦工科大学チューリッヒ校・生化学研究所所長)、クロマチンの高次構造を明らかにする革命的な手法であるHi-Cテクノロジーを創出して、その発展に寄与されたJob Dekker博士(マサチューセッツ大学/ハワードヒューズ医学研究所)の3人の先生がプレナリーレクチャーを快く引き受けてくださいました。2022年の2月になって、Job Dekker博士が健康上の理由で来日ができないことになったために、オートファジー研究で著名な吉森保先生(大阪大学)に講演をお願いしました。講演を引き受けて下さった吉森先生に感謝申し上げるとともに、Dekker博士の1日も早いご回復を祈念いたします。
 細胞生物学会はコンパクトな学会で、参加者の顔が見えることを特徴としており、そこに大きなメリットがあります。学会で、よく知っている分野、よく知っている仲間と親交を深めることは楽しく有意義ですが、学会だからこそ新しい交流を広げるきっかけ作りができることも期待したいと思います。細胞生物学は、生命理解の基本となる学問分野です。近年では、細胞の内部構造の詳細や動的変化が新しい顕微鏡技術によって次々に明らかになるなど、細胞生物学の分野は飛躍的な進展を見せています。一方で、細胞内反応のメカニズムを具体的に知り、それぞれの反応を統括して細胞の働きを理解するためには、分子生物学、生化学、イメージング技術、構造生物学、ゲノム科学、プロテオミクス、計算科学を含めたあらゆる分野の研究を取り入れて推進することが必要です。こうした学問分野を包含しながら、細胞生物学は、生命科学の重要な学術領域へと、さらに発展すると考えます。
今回の学会では、細胞生物学会主要カテゴリー(最新技術、細胞接着・細胞外マトリクス、細胞増殖・分化・死、染色体・核・遺伝子発現、細胞骨格・運動性、免疫、細胞内輸送・オルガネラ、タンパク質の一生、シグナル伝達)を考慮しながら、多くの研究領域のご協力を得て先端研究の話題を提供していただきます。学会員がこうした研究領域と積極的に交流ができる場を提供したいと思います。学会に参加される皆さんは、是非とも、多くの研究者と交流をしてください。
恒例の若手優秀発表賞の選考会に加えて、一般演題からもシンポジウム発表をピックアップするとともに、セレクションによる口頭発表を企画するなど、若手が活発に参加できる学会にしたいと思います。
 皆が集ってサイエンスを語り合える学会はやはり素晴らしい、と思えるような学会にしたいと思います。皆様、奮ってご参加してください。 
 最後に、本大会の開催にあたり、多くの企業、団体、研究者の方々からの協賛、ご共催、ご支援を頂けますことを、この場を借りて、厚くお礼申し上げます。