第23回応用力学シンポジウム

講演情報

一般セッション

一般セッション(第五部門:応用数理問題―計算機科学から社会科学まで)

応用数理問題―計算機科学から社会科学までB

2020年5月16日(土) 15:25 〜 17:00 E会場 (E)

座長:市村 強(東京大学)

[S05B-04] 浸水域の事前認知が避難行動に与える影響に関する研究

*久保 栞1、吉田 秀典1、堀 宗朗2、市村 強3、M.L.L. Wijerathne3 (1. 香川大学、2. 海洋研究開発機構・数理科学・先端技術研究開発センター、3. 東京大学)

キーワード:避難行動シミュレーション、高潮、マルチエージェントシステム

近年,台風や豪雨などにより,日本各地は多大な浸水被害を受けている.そこで,本研究では,浸水状況を反映させた避難行動シミュレーションを実施することで,水災害時における適切な避難行動について検討を行った.それに加え,避難者が浸水状況を事前に認知した場合の避難行動シミュレーションを実施した.その結果,エージェントが浸水箇所を事前に認知することで,浸水に巻き込まれることなく短時間で避難を終えることが可能となり,避難完了率は浸水箇所を事前に把握していない場合と比較すると大幅に上昇した.しかし,避難場所の少ないエリアにおいては,事前に浸水域を認知していた場合であっても,避難完了までに長時間を要する結果となったため,そのようなエリアや浸水する可能性のある避難場所への対策を議論する必要があるといえる.