ご挨拶
第39回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会
会長 赤松 正
東海大学医学部外科学系
形成外科学
この度、第39回日本頭蓋顎顔面外科学会総会・学術集会を開催させて頂くことになりました。東海大学の形成外科教室は、初代教授の長田光博が1974年に唇顎口蓋裂治療を専門として立ち上げて以来、その後も一貫して頭蓋顎顔面外科学を教室の柱として参りました。第二代教授谷野隆三郎が開催致しました第19回総会・学術集会から20年を経て、伝統ある本学会を再び私共の教室で主催させて頂けますことは、教室員・同門会員一同にとっても大いなる喜びでございます。
学会のテーマは「Trinity(三位一体)」と致しました。従来本学会がその中心に据えてきた骨格系先天異常の治療学に加え、これからはマイクロサージェリーを駆使する頭頚部再建外科と、健康保険医療を越えて審美性を追求してきた美容外科、この三者が知識と技術を結集させることが必要です。私が専門として参りました骨折治療学や顎変形症などの先天異常の治療学も、最近では術後の審美性や長期経過の安定性などのアウトカムが劇的に向上しています。その理由には固定デバイスや画像評価技術の進歩なども挙げられましょう。しかしなによりも美容医療的視点が導入されたことで審美的評価軸が向上したことが大きな理由であると思います。私たち形成外科医の三位一体はすでに始まっています。そのことを頭蓋顎顔面領域に挑戦する若い先生に広く知ってもらえる学会にしたいと考えました。
今回はそのようなわけで顔面移植に関するシンポジウム、首から上の美容医療のシンポジウムなどを設け、また従来は骨切りや顎顔面として設定されてきたOGSのシンポジウムを輪郭形成として審美性に振ったセッションにさせて頂きました。しかしこのように骨切り・再建・美容の三位を一体としたプログラムを作った結果、日本形成外科学会総会、日本形成外科基礎学会総会と、テーマがかなり被ってしまいます。同一のテーマを学会ごとに異なる演者と切り口で議論し、それにより考察を深めていくのは良いことだと思いますが、当然批判もあるでしょう。
私は日本頭蓋顎顔面外科学会は形成外科のなかでも特に専門性が高く、独自性の強い特別な学会だと信じてきました。(若かった頃はそう硬く信じていましたし、恩師からもそのように教えられてきました。)ですので、他学会での議論との違いをいかに表現しようかなどと、自分が考えなければいけなくなるとは思ってもいませんでした。しかし本学会も今はブレイクスルーを必要とする時期にさしかかっています。より多くの領域を取り込もうとしているのは裾野を広げたいからではなく、頂上を高めたいからです。顔面の機能と審美性の両者を今の常識を越えた新たな高みに到達させるために、今領域の拡大が求められているのだと思います。
さて、硬いお話しは置きまして、今回は現地での開催を皆様に大いに楽しんで頂けますよう、気持ち良く、楽しい空間を作ることに心を注ぎました。また数多くの企業の方々から温かい協賛を多数頂くことができ、ランチョン以外にスイーツセミナーなども用意してもらえました。本学術集会が楽しく、美味しい学会になることを会員の皆様にお約束致します!会員、非会員を問わず、多くの先生方のご参加をお待ち申し上げます。
では、新宿の京王プラザホテルで二日間、楽しい時を過ごしましょう!