第28回日本がん看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム

被災したがん患者の「暮らす」を支える ─通院治療、ケアに焦点を当てて─

2014年2月8日(土) 15:30 〜 17:30 第1会場 (朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター1F ウェーブマーケットB)

座長:佐藤たづ子(公益社団法人 新潟県看護協会 会長),
座長:佐藤富貴子(新潟大学医歯学総合病院 看護部長)

[SY-004] 災害と災害弱者

講師:丸山直樹 (新潟県立精神医療センター 院長)

阪神淡路大震災、中越大震災、そして今回の東日本大震災といったような自然災害の後には様々な心理的反応が生じてくることは、今や大きく認識されている。しかし、「自分はそんなことにはならないから大丈夫。」などと考える人がまだいることも事実である。調査によっては、「被災者の30〜80%がなんらかの精神的問題を有していた」という結果も出ている。この数字の高さから災害後に心理的反応が生じてくるのは普遍的な事と理解できる。 心理的反応の要因としては、「災害後の生活の変化」,「家族や生活用品の喪失」,「現実生活でのストレスの増大」,「人の死傷の目撃などの衝撃体験」が考えられる。この様な要因に曝されて心理的反応をおこしても、多くは特別になにをしなくても自然に回復すると考えられる。しかし、一部は、うつ病や物質依存症(薬物、アルコールなど)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患を発症してくる。こういった人達は、災害からの立ち直りが遅れがちになるだけでなく、自殺といった悲惨な事態になることも考えられる。 それ故に、災害後(短期、長期とも)には被災者の中から精神医学的なアプローチが必要な人達を拾い上げ、適切に対応していく方法が必要となってくる。 この様な自然災害に曝された時に特に影響を受けやすいと言われる「災害弱者」と言われる人達がいます。即ち、子ども、高齢者、障がい者(身体的、精神的、知的)、妊婦、乳幼児を抱えた親、外国籍の方などである。この様な人達には、特に配慮が必要となってくる。 今回のシンポジウムでは、災害後に生じてくる心理反応の経過を取り上げ、その結果、発症してくると考えられる精神疾患を解説していく。又、「災害弱者」と言われる中でも、高齢者・障がい者に焦点を当て、対応方法を考えていきたい。