第32回日本がん看護学会学術集会

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シンポジウム

シンポジウム1
早い段階から取り組むアドバンス・ケア・プランニング

Sat. Feb 3, 2018 10:40 AM - 12:30 PM 第1会場 (幕張メッセ 国際会議場 コンベンションホール)

座長:小澤 桂子(NTT東日本関東病院 がん看護専門看護師),田村 恵子(京都大学大学院 医学研究科 教授/がん看護専門看護師)

 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、「将来の意思決定能力の低下に備えて、患者と家族、かかわる医療従事者等が、今後のケア全体の目標や具体的な治療・療養についてあらかじめ話し合うプロセス」のことであり、病気になってからも、人生・生活を自分らしく過ごすための患者の意向を尊重しようというかかわりでもある。
 ACPは人生の最終段階に行うものというイメージがまだ強いと思われるが、終末期では約70%の患者で意思決定が不可能であるという研究があることなどから、人生の最終段階ではなく、もっと早い時期、がん患者の場合であれば、がんと診断されたとき、再発したとき、あるいは現在受けている治療の効果がみられなくなり次の治療に変更するときなどに、複数の段階を経て行われるようになることが望ましいのではないかと考えられる。しかし、患者にどのように問いかければいいのか、先々のことについて話すことでかえって将来への不安をもたせてしまうのではないか、外来では話をする十分な時間がないなどの理由で、早い時期にACPが行われることはまだ少ないのが現状であろう。
 そこで本シンポジウムでは、人生の最終段階よりも早い時期にACPを行うことが、その人らしい人生をおくることや質の高いエンド・オブ・ライフにとってどのような意味を持つのか、そして、早い時期からACPを行うためにはどのように取り組むとよいのかについて、4人のシンポジストから提言をいただき、参加者との討論を通じて、患者にとってよりよいかかわりや、その中での看護師の役割についての示唆を得る機会にしたいと考える。
 まず、増島氏からは、ACPの定義や類似概念について解説いただき、ACPにおける看護の役割、今後の実践や研究への示唆について、看護教育・研究者の立場から提言いただく。
 次に江口氏には、病院でACPに取り組んだ経緯や取り組み内容を紹介いただき、その中から得られた早期からのかかわりの必要性や、よりよいかかわりにするための課題や展望をお話しいただく。
 続いて本家氏からは、広島県医師会が中心となって行政などにも働きかけながら地域でACPについて取り組んできた活動の経緯や現状、課題などを紹介いただき、地域包括ケアが重要とされる今、地域でACPに取り組むための提言をいただく。
 最後に田中氏には、訪問看護師の立場から、地域で暮らすがん患者や家族とのACPの実際や得られた効果について事例を交えて紹介いただき、病院との連携の重要性や地域で暮らす患者のACPのあり方についての考えをお話しいただく。
 以上の講演を受け、参加者とともに、早い時期からのACPを考え、看護師として何ができるかを考える有意義なシンポジウムにしたいと考えている。多くの方々のご参加をお待ちしている。