第32回日本がん看護学会学術集会

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シンポジウム

シンポジウム2
通院治療生活を支えるための多職種連携
-治療中から先々の経過を予測し在宅療養環境を整える-

Sun. Feb 4, 2018 9:00 AM - 11:00 AM 第2会場 (幕張メッセ 国際会議場 国際会議室)

座長:岩崎 紀久子(淑徳大学 看護栄養学部 教授),早川 満利子(東京医科歯科大学医学部附属病院 がん看護専門看護師)

 化学療法や放射線療法の技術が発展し、通院治療をしながらがんと共に生きる時代となった。「生きる」とは生活することでもあり、治療をしながらも食事や排泄、清潔、睡眠、そして就労などの日常生活をいかに普段通り送り、その人らしい毎日を過ごせるよう支援していくかがより重要な事項となっている。老老介護の高齢世帯や独居の高齢がん患者が増加する中、副作用マネジメントや服薬管理、がん性疼痛コントロールを含めた体調管理をしていかなければならない。また経口抗がん薬の種類も増えたことにより治療選択肢が増え、治療期から緩和ケア中心となる境目がわかりづらくなっており、治療中から先々の経過を予測し在宅療養環境を整える必要性が高まっている。その為には、地域連携・多職種連携が必須となる。
 本シンポジウムでは、先々の経過を予測しながらの治療と生活に焦点をあて、日々の通院治療生活を安全に過ごしてもらうための支援について、病院-地域との連携の視点から多職種で考える機会としたい。
 まず病院治療医の立場から、安全に外来治療を継続するために在宅医療従事者との連携の実際や課題、平成28年に新設された「外来がん患者在宅連携指導料(;外来で化学療法や緩和医療を実施している段階から、在宅で緩和ケアを行う別の医療機関と連携していくことで算定される)」の算定状況やこれにより連携がどう変わったかなどについて、病院で治療医としてご活躍されながら、在宅訪問診療で在宅緩和ケアも担われている後藤宏顕氏にご講演いただく。
 次に、通院治療をしながら生活する患者を支える訪問看護師の現状と課題、特に高齢者や認知症・精神疾患など多様な問題を抱えながら地域で暮らす患者の有害事象に対するセルフモニタリングや、セルフケア継続のための具体的支援方法、治療生活をサポートする上で病院医療者や在宅でかかわる関係者(医師、ケアマネージャー、介護保険サービス等)との具体的な連携方法や内容について、がん看護専門看護師の熊谷靖代氏に訪問看護師の立場からご講演いただく。
 通院治療中の患者は、治療薬と共に症状緩和目的で様々な薬剤を服用している。中にはオピオイドをはじめ重要な薬剤もある中、十分に自己管理できていないことも多く、薬剤師が自宅に訪問し服薬管理や指導を行う重要性が増している。がん薬物療法認定薬剤師の浅子恵利氏には、訪問薬剤師の自宅における支援の実際、安全に治療を継続するための訪問薬剤師-病院医療者・他の在宅医療者間との連携方法や課題についてご講演いただく。
 最後に、治療の副作用症状や癌性疼痛を抱えながらも、高齢者が転倒なく安全に通院治療生活を送ることを目指し、ADL維持やQOL向上に向けた早期からの訪問リハビリの成果と必要性、訪問理学療法士が考える病院看護師との連携内容や課題について、訪問理学療法士の鈴木清仁氏にご講演いただく。
 先生方のご講演からの示唆をもとに、治療を行う病院の看護師が先々の経過を予測し、主治医と協働しながら地域とどう連携していくかまでディスカッションを深めていくことを目指している。