第32回日本がん看護学会学術集会

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シンポジウム

シンポジウム3
がんサバイバーの就労支援:看護は何をするのか?

Sun. Feb 4, 2018 12:50 PM - 2:50 PM 第2会場 (幕張メッセ 国際会議場 国際会議室)

座長:国府 浩子(熊本大学大学院 生命科学研究部 臨床看護学分野 教授),花出 正美(がん研究会有明病院 がん看護専門看護師)

 働くことは、生計維持のためであると同時に、社会や人とのつながり、キャリアアップ、生きがいなどの意味をもちます。さらに、がんサバイバーにとっては、治療費の確保のためでもあるかもしれません。がんの生存率は多くの部位で上昇傾向にあり、がんは長く付き合う病気です。がんサバイバーの約30%は、20~64歳の就労世代であり、就労世代のがんサバイバーにとって、がんや治療と付き合いながら働くことは、重要課題の1つです。
 がんになっても安心して暮らせる社会を目指して、日本のがん対策において、がんサバイバーの就労支援のあり方が検討されてきました。がんサバイバーの就労支援は、がんサバイバー自身、医療関係者、企業、国、地方公共団体などが協働して取り組むべき課題とされています。また、働き方改革実現会議においても、病気の治療と仕事の両立が取り上げられています。
 その一方で、がん罹患をきっかけとした離職は減少していない、がん治療に対する不安から医療関係者や企業に相談する前に離職する者がいるという指摘があります。内閣府のがん対策に関する世論調査(2016年)によると、現在の日本の社会は、がんの治療のために2週間に1度程度病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思う者は30%以下というのが、国民の認識です。がんや治療と付き合いながら働く上では、治療・検査・経過観察通院のための時間確保、体調・症状のセルフケア、自分の病気・治療を理解するための医療者とのコミュニケーション、職場の理解・配慮を引き出すための職場の人とのコミュニケーション、またがんサバイバーであることに関連した心理的葛藤など、さまざまな課題があると考えられます。
 がんサバイバーの就労支援において、看護師は何ができ、何をするのでしょうか?がん看護において、就労支援はスローガンに留まってはいるのではないかと感じることがあります。一方で、看護師が就労支援としては意識していないケアが、がんサバイバーの治療と仕事との両立に寄与しているとも感じます。
 本シンポジウムでは、がんサバイバー、社会保険労務士、産業保健師、また病院でがん看護に携わる看護師の立場からシンポジストを迎え、「がんサバイバーの就労支援において看護は何をするのか?」を問い直す機会としたいと考えています。