第33回日本がん看護学会学術集会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション1
AYA世代のがん患者の心理・社会的支援を考える
~若年成人世代のニーズに寄り添う支援とは何か~

Sat. Feb 23, 2019 3:00 PM - 5:00 PM 第1会場 (福岡サンパレス コンサートホール)

座長:森 文子(国立がん研究センター中央病院 看護部),渡邊 知映(上智大学 総合人間科学部 准教授)

 AYA(Adolescents and Young Adults)世代は、15歳以上39歳以下の思春期・若年成人世代を示し、その世代のがん患者とは、治療終了後の患者やAYA世代にある小児がん経験者も含む(平成27-29年度堀部班「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」)。第3期がん対策推進基本計画の分野別課題では、この世代のがん患者の実態や抱える課題のより詳細な把握、診療・支援体制の構築と普及が期待されている。
 AYA世代の中でも、特に若年成人世代(20~30歳代)は、精神的・経済的・社会的に自立し始める年代で、意思決定は本人が主体となる。しかし、それまでの生活や家庭環境はそれぞれに異なり、就学や就職、経済状況等の社会的自立は不安定でもあり、個人差がある。そのような時期のがん罹患は、自分の将来に向けた進路や希望を中断したり、諦めたりすることを余儀なくされる場合がある。また、がん治療において求められる意思決定は、患者自身の今後の人生に大きな影響を与えることから、極めて個別的で多様なニーズを考慮した支援が必要となる。
 そこで、個々の状況や課題に向き合い、人生の重要な意思決定を行う若年成人世代のがん患者の心理・社会的支援について、個別のニーズに応じた支援の現状と課題について明らかにし、臨床実践の示唆を得たいと考えた。医療職者や当事者それぞれの立場からの講演を踏まえ、AYA世代、特に20~30歳代の若年成人がん患者の「その人らしさ」をどのように支援できるかをディスカッションしたいと考えている。
 まず、平山氏には、医師として、またAYA世代がん患者の支援に関する研究活動にも関わる立場から、臨床現場における医師の関わりと現在の研究の動向およびご自身の研究活動からとらえた心理・社会的側面を主とした課題や提言を述べていただく。
 岸田氏には、サバイバーの立場から、自分らしく治療や生活と向き合った体験や様々なサバイバーからの語りを踏まえたがん患者支援団体の取り組みを紹介していただく。実際のがん体験やライフイベントに関連して経験したこと、得られた支援や必要だった支援などを当事者の声としてお話いただく。
 そして、金井氏には看護師として、白石氏には臨床心理士として、それぞれの立場から、若年成人世代のライフステージの特性を踏まえた心理・社会的支援の実際、これまでの取り組みについてお話しいただく。心理・社会的問題を抱えた若年成人世代の事例などから、臨床現場の課題、診断から治療後のサバイバーシップを見据えた大切な支援についてご紹介いただく。
 このパネルディスカッションを通して、参加者が若年成人世代のがん患者の特徴や多様な価値観を認識し、若年成人世代のがん患者が自分らしく生きるための心理・社会的支援について考える機会としたい。