第33回日本がん看護学会学術集会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム3
がん看護の知と技の継承
~研究と実践のさらなる融合~

2019年2月24日(日) 12:50 〜 14:50 第3会場 (福岡国際会議場 メインホール)

座長:秋元 典子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部 教授),花出 正美(がん研究会有明病院 看護部)

 「看護研究とは何か」という問いへの最もシンプルな回答は、『自分もしくは集団が、看護実践現場の中で「なぜだろう?」「どうしてだろう?」と疑問をもった現象や「解決したい」と考えた問題に対して組織立った科学的方法を用いて探求を重ねて答えを出したり、解決のための示唆を得ようとすることである』となる。したがって「わからなかったことがわかるようになる」のだから看護研究は本来おもしろいものであり、看護実践現場を変化させていくパワーを有しているといってよい。
 どこまでも看護実践の場こそが研究疑問発生の宝庫である。しかし、「日頃かかえている疑問や問題」は研究の原動力、あるいは研究の動機として不可欠ではあるが、それらを漠然ととらえていただけでは研究にはならない。それを研究へと発展させる思考や行動が必要となってくる。そのために、組織立った科学的方法を使えることが肝要である。それができてこそ看護実践現場で生まれ、看護実践現場に還元されていく研究となる。
 がん医療は、手術療法、薬物療法、放射線療法の発展のみならず、がんゲノム医療の登場に現れているように、新たな時代の到来を迎えている。療養の場や社会環境も変わりつつあり、それに伴いがん看護実践にも一層高度であって良質であることが求められている。すなわち、がん看護実践現場発信の学術論文が今以上に多く投稿・掲載されるようになって、既存の知の確認と洗練がなされ、新しい知の創造が求められているといってよい。
 このような現状と願いを背景に、本シンポジウムでは、現場発信の研究遂行のあり方、あるいは、日々のがん看護実践の中への先行研究知見の組み入れ方、さらには研究と実践のさらなる融合に関する今後の課題等ついて3名のシンポジストにご発表いただく。
 山本氏には、所属施設においてアドバンスケアプランニング(ACP)の仕組みを創るうえで研究的視点を交えて発展させていった過程をご紹介いただき、実践と研究の融合の実際をお話しいただく。松原氏には、がん看護専門看護師の立場から、専門看護師の役割である実践・教育の具体例として先行研究知見の実践への還元についてお話しいただき、このことを通して、研究知見の可視化(継承できる形に)の実際を紹介していただく。神田氏には、新たなエビデンスを構築する実践的看護研究のひとつとして有効な研究手法としての「ステトラー・モデル」を紹介していただく予定である。
 がん看護実践の質の向上をはかっていくことが強く求められている今、がん看護研究とがん看護実践がさらなる融合を遂げていくためのありようについて皆様とともに考え、がん看護の知と技の継承というテーマに一つの方向性を見いだしていきたいと思っております。皆様のご参加を心よりお待ちしています。