○鈴木 恭子 (国立がん研究センター中央病院)
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シンポジウム
シンポジウム1
多様な機能障害を担って生きるがん患者への高度実践看護を考える
Sat. Feb 22, 2020 10:30 AM - 12:30 PM 第2会場 (東京国際フォーラム ホールB7)
座長:中野 真理子(順天堂大学医学部附属順天堂医院 がん治療センター),千﨑 美登子(北里大学病院 看護部)
がん医療の現場では、3大標準治療(外科治療、薬物療法、放射線治療)に、免疫治療などが加わって治療の選択肢が拡がっている。がんと診断された患者は、治療のメリット・デメリットのICを受けて治療を選択するが、デメリットに明らかな機能障害を伴う場合、これまでの生活スタイルを変えることを余儀なくされて苦悩を抱く場合が多い。機能障害は、医療技術の進歩により外科的治療における切除部位の縮小(機能温存)が進められた。一方で、放射線治療の適応が拡大し、放射線における機能障害の対応が求められるようになった。昨今では薬物療法における認知機能の障害に対する課題も浮上し、がん患者の生活において問題となる機能障害が多様化してきた。
機能障害と向き合っている患者に寄り添い、治療後の生活の質を高める支援は、看護の専門的な役割の一つといえる。本シンポジウムでは、これまで「がんリハビリテーション看護」として捉えていた、機能障害(排尿障害、嚥下障害、皮膚障害、認知障害)への支援に焦点を当てる。そして、がん医療の進歩に伴って多様化してきたそれぞれの機能障害において、患者への最新の支援の実際を(含む診療報酬)事例を交えて報告頂き、「がんと共によりよく生きるを支援する」為の看護の深化について考えていきたい。
機能障害がある患者への支援は、近年多くの施設で、多職種による専門チームが活動しており、各看護分野の専門看護師(CNS)・認定看護師(CN)が中心となり高度な看護実践を行っている。様々な機能障害を抱えながら日常生活を過ごすがん患者に対して、医学的側面と日常生活の側面をみながら支援できる看護師の果たす役割は大きい。そこで、臨床現場で看護実践を行っている4名のシンポジストに具体的な実践例を多職種協働を中心に発表頂く。
鈴木CNには、食道がん術後患者の多くが抱える嚥下障害・栄養に関して術前からの多職種協働による関わりについて、北爪CNには、放射線療法において避けることはできない放射線皮膚障害とセルフケア支援について、所属施設特有の取り組みを交えて紹介して頂く。角CNには、骨盤内臓器がん術後の排尿機能障害に対する支援について、排尿ケアチームを立ち上げ多職種で関わる効果等について、大内CNSには、造血幹細胞移植後合併症後の患者への外来での関りを含めた支援について報告して頂く。臨床における専門チームは診療報酬算定上の施設基準を基に活動している場合が多く、それぞれの実践現場では外来での関りが十分ではないという課題もみえてきている。
本シンポジウムで多様化した機能障害を抱え、がんと共に生きる患者への高度看護実践について、演者、参加者の皆様と現状や成果を共有し、彼らの生活の質向上を目指してディスカッションをしていきたい。
○北爪 麻紀 (東邦大学医療センター大森病院)
○角 諒子 (国立がん研究センター東病院)
○大内 紗也子 (京都大学医学部附属病院)