日本発達心理学会 第26回大会

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大会委員会企画シンポジウム

赤ちゃん学が発達心理学に期待するもの

Fri. Mar 20, 2015 9:30 AM - 11:30 AM 伊藤謝恩ホール (伊藤国際学術研究センター)

共同企画:日本赤ちゃん学会若手部会
司会者:篠原郁子(国立教育政策研究所)

9:30 AM - 11:30 AM

[AS1] 赤ちゃん学が発達心理学に期待するもの

発展的融和に向けて

篠原郁子1, 白井述2, 岸本健3, 森裕紀4, 菅野康太5, 多賀厳太郎6 (1.国立教育政策研究所, 2.新潟大学人文学部, 3.聖心女子大学文学部, 4.大阪大学大学院工学研究科, 5.麻布大学獣医学部, 6.東京大学大学院教育学研究科)

 生涯発達心理学における赤ちゃんは,やがて大人になる人間の一時点の姿である。発達心理学における赤ちゃん研究は,心理的発達について時間軸上の変化や,生涯発達における他の段階との相違に関心を注ぎ,「何か月になると何ができる,何をする」といった行為や他者との相互作用に関する多くの知見を提示し続けている。
 一方,「赤ちゃん学」を構成する他の研究領域,例えば,医学,脳科学,ロボット工学,生物学等においては,「赤ちゃん」という存在自体への関心に基づき,「心理」や「発達」を扱わない研究も多くある。例えば,赤ちゃんが今,なぜ,どのようにして当該の反応や行為を産出するのかというメカニズムが注目され,身体運動や行為生起の特徴,さらにはそれらの内部機序として神経基盤,内分泌系等の知見も多く報告されている。特に現在,脳計測,計算シミュレーションなどの計測手法,研究手法が発展し,赤ちゃんへの科学的アプローチの方法が多様化している。そして,旧来の発達心理学研究において十分に迫ることのできなかった赤ちゃんの内部機序が可視化され,身体,行動,物質といったレベルで「発達」という時間的変化のプロセスの検討が様々に進められている。赤ちゃん学をめぐり,発達心理学以外にも多くの学問分野が赤ちゃんやその発達に関心を向け成果をあげている今日的,赤ちゃんを研究する発達心理学の独自性や存在意義はどこにあるのだろうか。
本シンポジウムでは,心理的発達に主眼を置く発達心理学が乳児に向ける視点と,他の赤ちゃん学が(必ずしも心なるものを持ち出さずに)赤ちゃんを見つめる視点の差異と共通項を手掛かりに,赤ちゃんを研究する発達心理学の現在について考える。赤ちゃんという同じ研究対象に向き合う複数の領域の研究者に登壇いただき,赤ちゃん学における発達心理学の居場所,発達心理学への期待,限界,可能性を議論する機会としたい。



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