音響音声学入門

[TS5] 音響音声学入門

音声を物理的に眺めて気付く言語発達の不思議

^○峯松信明 (東京大学)

本セミナーでは，音声波形をあまり眺めたことがない方々を対象として，1)音声の物理現象の基礎を理解して戴き，2)音声を物理的に眺めることで気付かされる，言語発達の不思議について触れます。音声には誰が，何を，どのように喋ったのか，など様々な情報が含まれています。しかし音声は物理的には，空気粒子の振動パターン（波形データ）でしかありません。この波形データのどこに，このような豊かな情報が隠れているのでしょうか？前半では，音声波形や音声スペクトルをどのように眺めるべきなのか？そもそもスペクトルとは何なのか，などについて分かり易く解説します。後半はそれらの知識を使って，言語発達に関する諸現象にメスを入れ，それが（物理的には）如何に摩訶不思議な現象であるのかを解説します。例えば，幼児の音声学習や，自閉症や音韻性ディスレクシアの音声言語発達に見られるビヘービアを取り上げます。一部，動物の音感についても取り上げます。講演者は音声工学の専門家ではありますが，発達心理学の専門家ではありません。ですので，前半は枯れた内容の提供となり，後半は，発達心理を専門とする若き研究者に対する，研究ネタの紹介になるのだろうと考えています。