日本発達心理学会 第26回大会

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チュートリアル・セミナー

フィールドにおける観察という方法

Sat. Mar 21, 2015 12:30 PM - 2:30 PM 福武ラーニングシアター (情報学環・福武ホール)

チューター:麻生武 (奈良女子大学)

12:30 PM - 2:30 PM

[TS6] フィールドにおける観察という方法

私は必ず現場に戻って来る

麻生武 (奈良女子大学)

私が行ってきた観察は3タイプあります。1つ目は、息子、甥、孫の観察です。現在も細々と孫観察を続けています。2つ目は、幼稚園観察です。園長であった3年間の観察と、現在月1で園で行っている巡回相談的観察です。3つ目は、今は行っていませんが15年間ほど行った就学前療育に関わる参与観察です。実験的に第三者視点で観察する計量的なサンプリング研究は行っていません。何のためにフィールド観察するのでしょうか。そこに人間が生きている場があるからです。研究には「問い」が必要ですが、「問い」はフィールドを通じて思索続けることから生まれてきます。「観察」研究で一番大切なことは、「観察」体験を自分の財産として保持することです。記憶には限界があります。ビデオや録音のデータはすぐにプロトコール化できないほど圧倒的な分量になってしまいます。文字やスケッチに書き表すことが「観察」体験を保持するには最も有効な方法に思えます。自分の観察文を読んで、その観察シーンが「立ち上がるか否か」が勝負です。それに勝ちきるには、その場へ即座にワープし、新たなエピソード記憶を再生させる必要があります。まるで、その場のことを永遠に覚えているように語る保育者や教育実践者に会われたことがあるでしょう。私たちに必要なのは、それに匹敵する「観察記録」を書き留めることです。どのようにそのような記述が可能なのか、またどのように「問い」を見出して行くのか、みなさんと一緒に考えたいと思います。1つの体験が深く記憶に刻まれ、私たちに「問い」を投げかけ続けることがあるのです。それが観察研究の醍醐味です。



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