第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会[合同開催]

セッション情報

ランチョンセミナー

[LS5] ランチョンセミナー5
心の病を定量する:AI医療機器開発の現場から

2022年11月25日(金) 11:50 〜 12:40 第5会場 (5階 ホールB5(2))

座長:岩坪 威(東京大学大学院医学系研究科/国立精神・神経医療研究センター神経研究所)

共催:株式会社FRONTEO

 精神疾患における症状の定量化の難しさは,診断の遅れや不一致につながり,治療評価をわかりにくくする.演者らは,人工知能技術を活用することで,このような問題への対処を目指し,複数の医療機器開発に取り組んできた.
 例えば,演者らは三軸加速度や心拍等を定量可能なリストバンド型ウェアラブルデバイスを用いて,うつ病のスクリーニング/重症度推定を行うソフトウェア医療機器を開発中である.産業保健分野においてうつ病をはじめとするメンタルヘルス不調は増加の一方で,こうしたデバイスも有用かもしれない.また,認知症の診断もしばしば遅れることが問題になる.認知症の経過中,言葉に表出される症状として,アルツハイマー型認知症に認められる健忘失語は代表的である.典型的な失語症状として捉えられる前にも,品詞の使い方の変化,文章の構造の変化が生じている可能性がある.演者らは,自然言語処理を用いて認知症スクリーニングを可能とするソフトウェアを開発した.
 デジタルトランスフォーメーション時代,こうしたデジタルバイオマーカーを用いた医療・治験は世界の医療や治験を変えつつある.講演では,演者の経験を交えながら,近未来の医療の展望と課題について述べる.

岸本 泰士郎 (慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座)