澤村 匡史1, 吉里 孝子2 (1.済生会熊本病院 集中治療室, 2.熊本大学医学部附属病院 看護部管理室)
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委員会報告
[CR4] 委員会報告4
(臨床倫理委員会) DNARとアドバンスケアプランニングを考える
Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 3:30 PM 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)
座長:大野 美香(名古屋学芸大学看護学部看護学科), 重光 秀信(東京医科歯科大学生体集中管理学)
構成1. DNARへの対応は変わったのか
日本集中治療医学会 倫理委員会は2016年12月に、「Do Not Attempt Resuscitation (DNAR)指示のあり方についての勧告」(以下勧告)を公表した。この公表に先立ち日本集中治療医学会医師・看護師会員にアンケート調査を実施し、本来対象ではない患者に(後期高齢者、日常活動が制限されている者など)、誤った方法で(一人の医師の独断など)DNAR指示が出され、本来の「DNARの対象である心肺停止時の心肺蘇生」以外の多くの医療・看護が不開始、差し控え、中止されている現状を明らかにした。この現状を打破・改善すべく公表された勧告から2年を経過し、倫理委員会は再度DNARの現状調査を実施した。興味深い結果が得られたが、この調査内容を会員諸氏と共有し、今後のより良いDNAR指示のあり方を探りたい。
構成2. アドバンス ケア プランニングをどう進めるか
DNAR指示の誤解・誤用で不開始、差し控え、中止されている多くの医療・看護は本来終末期患者へ実施されるものである。この事は終末期医療の決定・実施過程が誤解・誤用されている可能性を示唆するが、混乱する終末期医療への対応策として厚生労働省は2007年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を公表した。このガイドラインは、人生の最終段階を穏やかに過ごすことが出来る環境を整備する事を目標に掲げた「社会保障制度改革推進法」に基づき「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」と2014年に名称変更した。さらに、超高齢多死社会の進行に伴う在宅や施設における療養・看取りを考慮し、アドバンス ケア プランニングの概念を盛り込んだ「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が2018年に公表された。いまや、医療・看護(高度急性期から在宅まで)のみならず介護においても人生の最終段階を本人の意思決定を基本としてアドバンス ケア プランニングのプロセスを通じて決定する時代であり、集中治療も例外たり得えない。私どもは今後のどのようにアドバンス ケア プランニングと向き合い実施して行けばよいのであろうか、その方法を会員各位と模索したい。
則末 泰博1, 大野 美香2 (1.東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門, 2.名古屋学芸大学看護学部看護学科)