[EL23] 経口抗凝固薬に対する拮抗治療の最前線
2004年 兵庫医科大学卒業
神戸市立中央市民病院初期研修医
2006年 大阪府立中河内救命救急センターレジデント
2007年 大阪市立総合医療センター麻酔科レジデント
2010年 米国エモリー大学麻酔科 リサーチフェロー
2012年 京都府立医科大学麻酔科医員
2014年 京都府立医科大学麻酔科 助教
2014年 京都府立医科大学付属北部医療センター 診療科長
2018年-現在 京都府立医科大学麻酔科 講師(学内)
日本心臓血管麻酔学会評議員、学術委員
現在、心臓外科周術期を中心に血液凝固研究に従事
高齢化、生活様式の変化に伴い、抗血栓療法中患者の出血性合併症に対して診療する機会が増加している。救急集中治療患者では抗血栓薬による出血リスクと拮抗治療に伴う血栓リスクを勘案して拮抗治療の是非を決定することが求められるが、その対応に苦慮することも少なくない。さらには、薬剤溶出ステント留置患者における抗血小板薬2剤併用療法やNOACs(Non-vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants)の臨床普及はその止血管理をより一層に難しいものとしている。
近年、本邦でもワルファリン服用患者に対する拮抗治療としてプロトロンビン複合体製剤が薬事承認された。各種診療ガイドラインの刊行も手伝い、その臨床使用が増加しているが、適応病態の選定やPT/INRが延長していない症例に対する対応などにはさらなる理解が求められている。NOACs服用に伴う重篤な出血性合併症患者の対応が本邦で問題とされていたが、ダビガトランに対する特異的拮抗薬イダルシズマブが薬事承認されて以降、臨床医に許された治療選択肢が大きく広がることとなった。さらには抗Xa薬の特異的拮抗薬Andexanet alfaの治験も順調に終了し、本邦での薬事承認も近いことが予想されることから、NOACsの急性拮抗治療はこれから新しいステージに突入していく。臨床医には、各種薬剤における薬理作用と薬物動態の知識に基づき、拮抗治療を適切なタイミングで提案できることが求められている。これには、臨床で応用可能な一般凝固検査を活用し、拮抗治療施行の決定と効果判断をおこなう必要があろう。近年、本邦でも利用が広がっている患者ベッドサイドで測定可能な全血凝固時間測定装置はこのプロセスを改善させる可能性がある。
本講演では、これら経口抗凝固薬に対する拮抗治療薬の国際共同試験結果を紹介するとともに、臨床的な話題に焦点をあて、その患者対応について考察したい。
近年、本邦でもワルファリン服用患者に対する拮抗治療としてプロトロンビン複合体製剤が薬事承認された。各種診療ガイドラインの刊行も手伝い、その臨床使用が増加しているが、適応病態の選定やPT/INRが延長していない症例に対する対応などにはさらなる理解が求められている。NOACs服用に伴う重篤な出血性合併症患者の対応が本邦で問題とされていたが、ダビガトランに対する特異的拮抗薬イダルシズマブが薬事承認されて以降、臨床医に許された治療選択肢が大きく広がることとなった。さらには抗Xa薬の特異的拮抗薬Andexanet alfaの治験も順調に終了し、本邦での薬事承認も近いことが予想されることから、NOACsの急性拮抗治療はこれから新しいステージに突入していく。臨床医には、各種薬剤における薬理作用と薬物動態の知識に基づき、拮抗治療を適切なタイミングで提案できることが求められている。これには、臨床で応用可能な一般凝固検査を活用し、拮抗治療施行の決定と効果判断をおこなう必要があろう。近年、本邦でも利用が広がっている患者ベッドサイドで測定可能な全血凝固時間測定装置はこのプロセスを改善させる可能性がある。
本講演では、これら経口抗凝固薬に対する拮抗治療薬の国際共同試験結果を紹介するとともに、臨床的な話題に焦点をあて、その患者対応について考察したい。