[ELS1-2] ARDS診療ガイドライン2016以後の文献レビュー
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2007年 3月 広島大学医学部医学科 卒業
2016年 4月 JA広島総合病院 救急・集中治療科 部長
2018年 3月 広島大学 大学院医歯薬保健研究科医歯科学専攻 公衆衛生学 生物統計コース 卒業
2018年 5月 奈良県総合医療センター 集中治療部
2018年 10月 倉敷中央病院 集中治療科
現在に至る
専門分野は呼吸療法、集中治療
ARDSの診断基準は突然発症で、画像で確認された心原性だけでは説明がつかない肺水腫で、低酸素血症であるが、この定義により臨床研究は行いやすくなった一方で、なかなか生存のような真のアウトカムを改善させたという報告は少ない。その理由の一つとして、ARDSの原因は様々であり、異質性の高い集団であることがあげられる。
ARDSnetworkが行なったRCTをいくつか例に挙げると、ARMA(1回換気量、プラトー圧制限)は院内死亡を減少させたが、ALVEOLI(higher PEEP)、FACTT(水分制限)はそれぞれ主要評価項目である院内死亡や60日死亡を改善しなかった。しかしALVEOLIのようなARDS患者に対するhigher PEEPを検討したRCTのメタ解析では、中等症および重症のARDSで死亡を改善させた。また、ARMAとALVEOLIのデータを用いARDSを2つのサブタイプに分けたところ、炎症が強く、循環動態が不安定なタイプのARDSは敗血症が原因であることが多く、死亡率も高かった。さらに、FACTTをこの患者群で比較したところ、水分制限管理やhigher PEEPによる介入は炎症が強いタイプのARDSの方が有効そうだった。
今後のARDSに対する研究は、重症例などの死亡のハイリスクな患者やサブタイプ別の介入による効果が大きそうな患者など個別化する方向になってくるかもしれないが、2014年にARDSに対するロスバスタチンを検討したRCT以降、ARDSnetworkによるRCTは発表されていない。
ARDS診療ガイドライン2016が公開されて2年半が経過した。行うことを強く推奨したのは「1回換気量制限」、弱く推奨したのは「プラトー圧制限、中等症から重症ARDSに対するhigher PEEP、プロトコル化した呼吸器離脱、腹臥位、筋弛緩薬、ステロイド、水分制限管理、初期管理としてのNPPV」であった。それ以降は、NPPVよりはHFNCの方がまだましだとか、NPPVを行うならばヘルメット型の方がPEEPをよりかけれて良いとか、ECMOはどうかとか、リクルートメント手技はよくないとか、いくつかのRCTが報告され、次回の改定に影響を与えてくるのではないかと思われる。
本講演では、ARDS診療ガイドライン2016に取り上げられたCQ(Clinical Question)を中心に、基本的にはRCTを、RCTが十分数とは言えないCQについては観察研究もできる限り、最近の報告をレビューしたい。
ARDSnetworkが行なったRCTをいくつか例に挙げると、ARMA(1回換気量、プラトー圧制限)は院内死亡を減少させたが、ALVEOLI(higher PEEP)、FACTT(水分制限)はそれぞれ主要評価項目である院内死亡や60日死亡を改善しなかった。しかしALVEOLIのようなARDS患者に対するhigher PEEPを検討したRCTのメタ解析では、中等症および重症のARDSで死亡を改善させた。また、ARMAとALVEOLIのデータを用いARDSを2つのサブタイプに分けたところ、炎症が強く、循環動態が不安定なタイプのARDSは敗血症が原因であることが多く、死亡率も高かった。さらに、FACTTをこの患者群で比較したところ、水分制限管理やhigher PEEPによる介入は炎症が強いタイプのARDSの方が有効そうだった。
今後のARDSに対する研究は、重症例などの死亡のハイリスクな患者やサブタイプ別の介入による効果が大きそうな患者など個別化する方向になってくるかもしれないが、2014年にARDSに対するロスバスタチンを検討したRCT以降、ARDSnetworkによるRCTは発表されていない。
ARDS診療ガイドライン2016が公開されて2年半が経過した。行うことを強く推奨したのは「1回換気量制限」、弱く推奨したのは「プラトー圧制限、中等症から重症ARDSに対するhigher PEEP、プロトコル化した呼吸器離脱、腹臥位、筋弛緩薬、ステロイド、水分制限管理、初期管理としてのNPPV」であった。それ以降は、NPPVよりはHFNCの方がまだましだとか、NPPVを行うならばヘルメット型の方がPEEPをよりかけれて良いとか、ECMOはどうかとか、リクルートメント手技はよくないとか、いくつかのRCTが報告され、次回の改定に影響を与えてくるのではないかと思われる。
本講演では、ARDS診療ガイドライン2016に取り上げられたCQ(Clinical Question)を中心に、基本的にはRCTを、RCTが十分数とは言えないCQについては観察研究もできる限り、最近の報告をレビューしたい。