[ES3-1] Post-Intensive Care Syndromeと栄養管理
2010年に米国集中治療医学会のステークホルダーカンファレンスでPost-Intensive Care Syndrome(PICS)の概念が提唱されて以降,PICSに関する報告は急増し,同時にPICSに対する取り組みの報告も出てくるようになった。現状として,ICU患者の6割がPICSを発症しているとされ,重症疾患の救命率が改善してもいまだなお楽観視できる状況にはない。2012年に開かれた2回目のステークホルダーカンファレンスではABCDEFGHバンドルが提唱された。これは従来のABCDEバンドルにICU退室後のフォローや家族への介入などを含むFGHが加えられたものである。このようなバンドルによって短期機能予後を改善したとする大規模研究も近年報告された。ただし,このバンドルには栄養管理は含まれていない。これまでの早期リハビリテーションの研究を見ると,全体的にはポジティブな結果であるが,個々のRCTではその効果にばらつきがみられ,死亡率に至っては悪化傾向のものもある。ネガティブな結果のRCTの共通点としては,超早期から強度の高いリハビリテーションを行っていること,栄養管理が伴っていないことが挙げられる。超急性期の高度炎症状態においては異化亢進が強く,強度の高い運動に栄養が追いついていない可能性があり,バランスのいい強度と栄養管理がなされていなければ逆効果になるのかもしれない。
本講演ではPICSにおける栄養管理のエビデンスと可能性について概説する。
本講演ではPICSにおける栄養管理のエビデンスと可能性について概説する。