第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

教育セミナー(イブニング)

[ES3] 教育セミナー(イブニング)3

ICU-AWの予防のための早期リハビリテーションと栄養管理

2019年3月2日(土) 17:00 〜 18:30 第2会場 (国立京都国際会館2F Room A)

座長:西田 修(藤田保健衛生大学医学部麻酔・侵襲制御医学講座)

共催:ネスレ日本株式会社ネスレヘルスサイエンスカンパニー

[ES3-1] Post-Intensive Care Syndromeと栄養管理

福家 良太 (東北医科薬科大学医学部感染症学)

2010年に米国集中治療医学会のステークホルダーカンファレンスでPost-Intensive Care Syndrome(PICS)の概念が提唱されて以降,PICSに関する報告は急増し,同時にPICSに対する取り組みの報告も出てくるようになった。現状として,ICU患者の6割がPICSを発症しているとされ,重症疾患の救命率が改善してもいまだなお楽観視できる状況にはない。2012年に開かれた2回目のステークホルダーカンファレンスではABCDEFGHバンドルが提唱された。これは従来のABCDEバンドルにICU退室後のフォローや家族への介入などを含むFGHが加えられたものである。このようなバンドルによって短期機能予後を改善したとする大規模研究も近年報告された。ただし,このバンドルには栄養管理は含まれていない。これまでの早期リハビリテーションの研究を見ると,全体的にはポジティブな結果であるが,個々のRCTではその効果にばらつきがみられ,死亡率に至っては悪化傾向のものもある。ネガティブな結果のRCTの共通点としては,超早期から強度の高いリハビリテーションを行っていること,栄養管理が伴っていないことが挙げられる。超急性期の高度炎症状態においては異化亢進が強く,強度の高い運動に栄養が追いついていない可能性があり,バランスのいい強度と栄養管理がなされていなければ逆効果になるのかもしれない。
本講演ではPICSにおける栄養管理のエビデンスと可能性について概説する。