第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

国内招請講演

[IL(J)3] 国内招請講演3

2019年3月2日(土) 11:30 〜 12:20 第2会場 (国立京都国際会館2F Room A)

座長:松井 彦郎(東京大学医学部小児科)

[IL(J)3] 先天性心疾患手術術式の問題点と最新の治療戦略

山岸 正明 (京都府立医科大学 小児医療センター 小児心臓血管外科)

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1983年 京都府立医科大学卒業
1983年 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科助手
1992年 東京慈恵会医科大学心臓外科学教室助手
1997年 京都府立医科大学第二外科学教室助手
2006年 京都府立医科大学小児心臓血管外科教授現在に至る。
日本小児循環器学会理事。専門分野は先天性心疾患の外科治療。現在、ePTFE肺動脈弁の開発、複雑心奇形の手術に従事。
先天性心疾患に対する外科治療は診断技術や集中治療の進歩等により長足の発展を遂げている。しかし従来の術式は種々の問題点を残しており、遠隔期再手術の要因となっている。先天性心疾患は形態異常を伴っているため、成長の要素を勘案しつつ、エネルギーロスの少ない流体力学的に理想的な形態を三次元的に再建することが求められる。今回は、新たに開発した治療戦略・術式とともに外科修復後の流体力学的解析結果等を紹介する。1)左心低形成症候群に対するChimney reconstruction:補填物を使用せずに新大動脈ならびに新大動脈弓を再建する術式。流体力学的に良好な大動脈形態を再建できる。2)左室流出路狭窄を伴う完全大血管転位に対するhalf-turned truncal switch手術:大動脈と肺動脈基部を一塊として切除し180°回転させて対側の心室流出路に縫着する術式。心室内血流転換と右室流出路再建に対する人工血管が不要となる。3)部分肺静脈還流異常に対するdouble-decker technique:異常肺静脈還流路と上大静脈還流路を上大静脈近位部に二階建てに再建する術式。遠隔期静脈還流路狭窄を回避し得る術式。4)主要体肺動脈側副血行路(MAPCA)を伴う心室中隔欠損、肺動脈閉鎖に対する一期的unifocalization:欠損した中心肺動脈は自己心膜rollで再建し、自己心膜rollに全てのMAPCAを統合する。右室流出路は弁付き人工血管により再建する。5)ePTFE肺動脈弁付き導管による右室流出路再建:生体内で変性しにくいePTFEを用いたfan-shaped肺動脈弁およびsinus付きePTFE導管を開発した。現在、国内65施設で臨床使用され、良好な遠隔成績を示している。
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