第46回日本集中治療医学会学術集会

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国内招請講演

[IL(J)6] 国内招請講演6

Sat. Mar 2, 2019 11:15 AM - 12:05 PM 第18会場 (グランドプリンスホテル京都B2F プリンスホール1)

座長:高橋 哲也(順天堂大学保健医療学部開設準備室/順天堂大学医学部附属順天堂医院リハビリテーション室)

[IL(J)6] 急性期リハビリテーション医療の実践

田島 文博 (和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座)

ライブ配信】

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学歴:産業医科大学医学部医学科および同大学院博士課程卒業職歴:産業医科大学リハビリテーション医学教室助手、講師をへて2000年浜松医科大学医学部附属病院リハビリテーション部助教授。2003年和歌山県立医科大学リハビリテーション医学教授。2008年 同 スポーツ・温泉医学研究所所長。2009年 同 げんき開発研究所所長。2014年 同 附属病院副院長、文部科学省認定障害者スポーツ医科学研究拠点 みらい医療推進センター センター長。2016年 同 患者支援センター センター長。
リハビリテーション医療は,診断と十分な医学的管理のもとに,十分な質と量で施行することが重要である.リハビリテーション科医と療法士だけでなく,集中治療室主治医,看護師とチーム医療として取り組む.和歌山県立医科大学ではICUカンファレンスへの参加,整形外科,脳神経外科,消化器外科など他科の回診などにも参加し必要な情報の共有を行っている.病院スタッフ,特に看護師も安静臥床の弊害を認識し,救急救命科医師から入院とほぼ同時にリハビリテーション依頼が出される. 安静臥床による機能障害を防ぐためには障害が発生してから対応するのではなく,疾患治療と並行してリハビリテーション治療を開始し積極的に機能改善を図る.ICU入院直後から身体に重力負荷や運動負荷を施行すべきだが,残念ながら臥床のまま関節可動域を他動的に動かすだけで終わるのが現状である.しないよりはましだが,安静臥床状態変わりない.患者の活動性と生命予後改善に寄与するためには,リハビリテーション医学に精通した医師が,習熟した療法士とともにプロフェッショナルとして責任もって,他科医師と看護師と共に,鎮静を解除し,座位・立位をとらせ,そして,運動負荷,特に,起立歩行訓練を実施する.  我々はリハビリテーション治療の質を改善するために,毎週,画像カンファレンス,英文抄読会,訓練室回診,症例検討会,などを行うことで知識を深められるように努めている.さらによりよいリハビリテーション治療のために職種関係なく研究を行っている.研究が臨床を発展進歩させ,結果として,患者をよくするのである. さらに,実際にICUリハ医療を行って行くと,安静臥床の弊害予防だけで説明出来ない即時効果をみることが多い.鎮静を解いてもGCSスコアが3点であった患者を座位・起立させると意識が改善したり,気管内挿管で人工呼吸器管理の患者を起立・運動させると大量の排痰でSpO2が改善したり,とても安静臥床で得られない効果がすぐに認められる. 和歌山県立医科大学のリハビリテーション科運用システムについて説明する.主科主治医がリハビリテーション科に紹介状を出すと,当日中にリハビリテーション科医が全身を診察し,リハビリテーション処方を行う.それを受け,療法士もその日のうちに訓練を施行する.当日夕方に多職種で新規紹介患者のカンファレンスを行い,見落としのチェックと最良のリハビリテーション治療法を話し合う.もし問題点があっても,毎朝リハビリテーション施行患者全員の病棟回診を行うので,その時に患者を診察し,状態を確認する. 最良の結果を患者にもたらすためには,リハビリテーション治療が欠かせない.