第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

ジョイントシンポジウム

[JSY2] ジョイントシンポジウム2
(日本集中治療医学会・日本循環器学会) 最新の心不全診療ガイドラインを知る

2019年3月1日(金) 10:35 〜 12:05 第1会場 (国立京都国際会館1F メインホール)

座長:笠岡 俊志(熊本大学医学部附属病院 救急部), 佐藤 直樹(日本医科大学武蔵小杉病院内科・循環器内科・集中治療室)

[JSY2-1] 最新の心不全診療ガイドラインを読み解く

筒井 裕之 (九州大学 大学院 医学研究院 循環器内科学)

日本循環器学会と日本心不全学会では、従来から急性心不全と慢性心不全に分かれていた心不全診療ガイドラインを1本化するとともに7年ぶりに全面的に改訂し、2018年3月に「急性・慢性心不全診療ガイドライン2017」として公表した。今回の心不全診療ガイドラインにおいて改訂した内容の主要なポイントは以下のとおりである。
1) 心不全の定義を明確化するとともに、一般向けにわかりやすい定義もあらたに記載した。
2) 心不全とそのリスクの進展のステージと治療目標をあらたに記載した。
3) 心不全を、左室駆出率(left ventricular ejection fraction; LVEF)が低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction; HFrEF)とLVEFが保たれた心不全(HF with preserved EF; HFpEF)に加え、LVEF 40-49%をHF with mid-range EF(HFmrEF)に分類して記載した。さらに、HFpEF、 improved( またはHF with recovered EF)についても記載した。
4) 心不全診断アルゴリズムをあらたに作成した。
5) 心不全進展のステージをふまえ、心不全予防の項をあらたに設定した。
6) 心不全治療アルゴリズムをあらたに作成した。
7) 併存症の病態と治療に関する記載を充実させた。
8) 急性心不全の治療において時間経過と病態をふまえたフローチャートをあらたに作成した。
9) 重症心不全における補助人工心臓治療のアルゴリズムをあらたに作成した。
10) 緩和ケアに関する記載を充実させた。
改訂された項目は多岐にわたるが、心不全のステージ分類、治療目標、治療アルゴリズムなど今回新たに取り入れられたガイドラインの内容を読み解き、集中治療の現場において知っておくと役立つ心不全診療の考え方について紹介したい。