第46回日本集中治療医学会学術集会

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ジョイントシンポジウム

[JSY5] ジョイントシンポジウム5(
日本集中治療医学会・日本リハビリテーション学会) 早期リハビリテーション医療における多職種チームビルディング ~それぞれの立場から~

Sat. Mar 2, 2019 9:40 AM - 11:10 AM 第18会場 (グランドプリンスホテル京都B2F プリンスホール1)

座長:田島 文博(和歌山県立医科大学リハビリテーション医学講座), 西田 修(藤田医科大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座)

[JSY5-4] 早期リハビリテーション医療における多職種チームビルディング ~理学療法士の立場から~

高橋 哲也 (順天堂大学 保健医療学部 開設準備室)

ライブ配信】

 平成30年度の診療報酬改定で特定集中治療室管理料に「早期離床・リハビリテーション加算」が認められた。算定対象(2)に「特定集中治療室での早期離床・リハビリテーションに関する多職種からなるチームを設置し、患者の診療を担う医師、看護師、理学療法士等が、チームと連携して、患者の早期離床・リハビリテーション実施に係る計画を作成し実施した場合に算定する」と明記してあるように、早期離床・リハビリテーションはチームビルディングが必要不可欠である。
 急性期の医療現場で働くと、いかに力を合わせることが重要かということを思い知らされる。“Patient-Centered Rehabilitation”を考える場合、何よりも重要なのは「患者さんにとって何が最良なのか」であり、職域の争いや医療制度への愚痴などではない。
 私は以前、シンガポールで研修した経験から、リハビリテーションのチーム医療についてTrans-professional workingを強調している(MB Medical Rehabilitation, No. 190, Nov/2015)。Multi-disciplinary team(諸専門分野からなる総合的な多角的チーム)やInter-disciplinary team(学際的なチーム)から一歩進んだTrans-disciplinary team(多くの学問分野が互いに影響しあう学際分野超越的なチーム)とprofessional workingを足し合わせた造語である。よいチームを形成するためには、単に専門家を多数そろえればいいのではない。それぞれの職種ごとの専門性や法律で規定されたautonomyを充分に尊重しながら、協力できるところは積極的に協力できる学際分野超越的なチームは、まさに急性期リハビリテーションに求められるチーム医療の形である。そこにはpassiveに居場所を欲しがるセラピストでなく、他から頼られる専門家としてチーム内で機能できるように、プロフェッショナルとしての知識や技術のコアコンピテンシーを有していなければならないことは言うまでもない。
 今回のリハビリテーション医学会とのジョイントシンポジウムは、まさに集中治療におけるリハビリテーションのTrans-professional workingの幕開けであり、理学療法士としてのコアコンピテンシーや働き方、役割について議論したい。