第46回日本集中治療医学会学術集会

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ジョイントシンポジウム

[JSY6] ジョイントシンポジウム6
(日本集中治療医学会・日本中毒学会) 中毒と血液浄化

Sun. Mar 3, 2019 10:50 AM - 12:20 PM 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:伊関 憲(公立大学法人福島県立医科大学附属病院高度救命救急センター), 土井 研人(東京大学医学部救急科学)

[JSY6-4] 毒性アルコール中毒における血液浄化法とホメピゾール

佐藤 ルブナ1,2 (1.福島県立医科大学 医学部 救急医療学講座, 2.福島県立医科大学 地域救急医療支援講座)

ライブ配信】

メタノール中毒やエチレングリコール中毒に代表される毒性アルコール中毒では,服毒後に適切な治療が行われない場合には致死的な経過をたどる。メタノール中毒やエチレングリコール中毒は共通してアルコール脱水素酵素の作用により産生される代謝産物が毒性を有しており,前者は重篤な中枢神経障害を,後者は急性腎障害を引き起こす。診断には毒性アルコールの暴露歴に加え,浸透圧ギャップやアニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスの存在が一助となる。
毒性アルコール中毒に対しては、血液浄化法が根本治療となり、早期導入が望まれる。除去効率から考えると血液透析が望ましいが、循環状態が不安定な場合には持続的血液濾過透析が行われる。またエチレングリコール中毒では急性期を脱した後も腎機能が改善するまで血液透析が必要となる。これらの毒性アルコール中毒に対する血液浄化法の問題点は、体内分布容量が大きいため血液透析後に血中濃度が再上昇するが、測定できない施設ではこれらの把握が困難であった。
また拮抗剤治療としてのエタノール療法では有効血中濃度を正確に維持することが困難であることや,中枢神経抑制作用などのエタノール中毒症状が伴うといった問題点があった。
2014年にアルコール脱水素酵素阻害薬であるホメピゾールが薬価収載され,日本でも使用が可能になったことで治療法が変化しつつある。海外の報告では服毒早期にホメピゾールを投与することで血液浄化療法を回避できる可能性が示唆されている。また,ホメピゾールを投与することで半減期が延長した毒性アルコールを除去する目的での血液浄化療法の併用も議論されており,ホメピゾールと血液浄化療法の併用により治療成績の向上が期待できる。当院では血液浄化法とホメピゾールの併用を行っており、これらの治療法について提示する。