第46回日本集中治療医学会学術集会

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教育セミナー(ランチョン)

[LS11] 教育セミナー(ランチョン)11

Fri. Mar 1, 2019 12:40 PM - 1:40 PM 第19会場 (グランドプリンスホテル京都B2F プリンスホール2)

座長:松田 直之(名古屋大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学分野)

共催:丸石製薬株式会社

[LS11-1] PICS総説:Life after ICU

福家 良太 (東北医科薬科大学医学部感染症学)

2010年に米国集中治療医学会のステークホルダーカンファレンスでPost-Intensive Care Syndromeの概念が提唱されて以降,PICSに関する報告は急増し,同時にPICSに対する取り組みの報告も出てくるようになった。現状として,ICU患者の6割がPICSを発症しているとされ,重症疾患の救命率が改善してもいまだなお楽観視できる状況にはない。PICSに対する介入では特に運動機能が重要視され,早期リハビリテーション介入が積極的に行われるようになったが,残念ながら長期機能予後の改善を示せていない。これは早期リハビリテーションのみならず,様々な介入を同時進行で行う包括的なバンドルが必要であることの証左といえる。また,PICS構成要素の運動機能に比して,認知機能,精神機能への介入は実臨床ではまだまだ行われていないのが現実であろう。
2012年に開かれた2回目のステークホルダーカンファレンスではABCDEFGHバンドルが提唱された。これは従来のABCDEバンドルにICU退室後のフォローや家族への介入などを含むFGHが加えられたものである。また,近年はICU日記についての有用性も報告されるようになり,ABCDEFGHIバンドルと称する専門家もいる。このようなバンドルによって短期機能予後を改善したとする大規模研究も近年報告された。
ただし,PICSはICU在室中よりもはるかに長いICU退室後の患者の生活にかかわる。このため,ICUでの介入のみならず,社会,経済,宗教等さまざまな影響を受ける。PICSの疫学研究は現時点では海外のデータを参照せざるを得ず,本邦での現状把握が急務である。
本講演ではPICSの網羅的総説を講演するとともに今後の課題を提示したい。